イニング制限がある中でタイトル争いに絡んでいる事実が末恐ろしい――。フロント主導の育成プログラムにのっとり、登板間隔を空けるためソフトバンク・前田悠伍投手(21)が20日に出場選手登録から抹消。ここまで12勝1敗、防御率1・99の好成績をマークして、最高勝率のタイトル獲得条件である13勝に王手をかけている。

 あくまでポストシーズンに照準を合わせつつ、個人タイトルを狙う。再登録可能な30日以降、チームは10月上旬に振り替えとなった4試合を残している。倉野チーフ投手コーチは投手指名練習が行われた24日に「(前田悠は)もう1回いくつもり」と明言。CSファイナルステージに向けた調整登板を兼ねたレギュラーシーズン中の起用が固まり、個よりもチームを重視する21歳左腕は〝無欲〟で最終登板に臨むつもりだ。

 前田悠を巡っては今季初黒星を喫した19日の楽天戦後に、小久保監督が「フロントを含めて会議というか(今後の起用法について話を)詰めないといけない」と言及。左腕はここまで18試合に先発して、104イニングを投じている。昨年9月に左ひじを手術。フロントは今季のロードマップを現場と共有し、手術明けとなるシーズンを考慮してイニング数を管理してきた。ポストシーズンを含めて「年間120イニング」が一つの目安とみられ、先を見据えてレギュラーシーズン中にもう一度登板可能かどうかを協議する必要性があった。

 ソフトバンクのシーズン最終戦は10月5日で、そこからCSファイナルステージ初戦の14日までは長い空白期間が生じる。すでに「ポストシーズン優先」に切り替えて準備を進めている前田悠にとっても一軍公式戦を挟めるメリットは大きい。大枠を決めているフロントも異論はなく、登録抹消となった20日の時点で次回登板が10月上旬の公式戦となる道筋が立っていた。

 いずれにしても、13勝目を狙える立ち位置にいながら投げるか投げないかが注目された前田悠。わずか100イニング余りで最多勝レースに絡み、最高勝率が視野に入っている事実は特筆すべきパフォーマンスと言える。