声優の水島裕(70)がプロデュースする朗読劇「笑う朗読3」が11~13日、東京・大手町三井ホールで開催される。朗読劇は静かに聞くスタイルのためしっとりとしたイメージが強いが、この公演では笑いに特化している。水島は楽屋に凸って「森三中」大島美幸(46)に脚本執筆を直談判した秘話などを明かした。

 水島はこれまで、真っ暗闇の中で五感を刺激する「ブラインドシアター」、子供も楽しめる「わんぱくオーケストラ」など、常に「他がやっていない」作品に挑戦してきた。今回の「笑う朗読」もその一つ。

「朗読劇ってしんみりしたイメージが多いけど、笑えたら絶対に楽しい。差別化というか、やっぱり違うこと、面白いことをやりたくなりますよね」と立ち上げのきっかけを振り返る。

 今作には「クレヨンしんちゃん」野原しんのすけ役などの小林由美子(47)、「新世紀エヴァンゲリオン」碇ゲンドウ役などの立木文彦(65)ら実力派声優が出演。“目玉”は大島が出演するだけでなく、脚本も務めたことだ。

「テレビを見ていてチャーミングでステキな人だなと。ファンだったので大島さんに(脚本を)書いてもらったらどうなるんだろう」と思った。

 そこで、日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」の「楽屋に足を運んだんです」というから驚かされる。熱烈オファーむなしく、大島から「書いたことがないから無理です…」と断られたが、直後に驚きの条件が提示された。

「『なんとかお願いできないでしょうか?』って聞いたんです。そうしたら『ラムちゃん、浅倉南、クリィミーマミを揃えてくれたら書きます』って」

「うる星やつら」ラムの平野文(71)、「タッチ」浅倉南の日髙のり子(64)、「魔法の天使クリィミーマミ」クリィミーマミの太田貴子(58)のキャスティング要望だった。

「『分かりました』って即答しました。帰り道で急いで3人へ電話してみたら、皆さんすぐにOKしてくださったんです(笑い)」

森三中・大島美幸
森三中・大島美幸

 有名キャラクターの声優陣の心意気に押された大島は、ヒロイン3人に自らが得意とするリアクション芸を仕込むという脚本を仕上げてきた。

 水島は「予想をはるかに上回って、100点満点中200点!」と絶賛。こだわりの朗読劇とあって、これまでは脚本の見直し作業に時間がかかったというが、「初稿からもうこのままでいけるなって思いました」と顔をほころばせた。

 舞台は整った。ただ、「笑わせるって難しい」とこぼす。「ホントはね、“本気で困っている姿”っていうのが一番面白いんです。でも、それが全部じゃ(観客は)苦しいよね。バカ笑いだけでもダメ。クスッと、ニヤリと、いろいろな笑いがないといけない」と悩まし気な顔を浮かべた。

 御年70歳。声優としてもプロデューサーとしても飽くなき向上心をのぞかせる。近年はデジタルが浸透し、他人とのやりとりはLINEなどが定番。水島は足を使い、当人に会い、直談判し、熱意を伝えるという“アナログ”で自身の構想を実現してみせた。

「いや、ホント俺はバカだから!」と笑い飛ばし、「やりたいことがあるから(頑張れるんだ)よね」と語った。

☆みずしま・ゆう 1956年1月18日生まれ。東京都出身。主な出演作は「六神合体ゴッドマーズ」明神タケル、「魔法の天使クリィミーマミ」大伴俊夫、「ときめきトゥナイト」真壁俊など多数。NHK「やっぱりヤンチャー」「ともだちいっぱい」ゆう兄ちゃんとしても知られる。