派手に追いついた直後、武骨な男が静かに試合を終わらせた――。阪神・大山悠輔内野手(31)が18日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で、自身4度目となる14号サヨナラ本塁打。3―2の劇的勝利を決めた。
1点を追う9回一死。前を打つ佐藤輝明内野手(27)が右中間席へ森下に並ぶリーグトップタイの29号同点ソロを放つと、スタンドのボルテージは一気に最高潮へ。それでも、同点弾の余韻が残る中で打席に入った先輩は冷静だった。
「いつもいつも、目の前でとんでもないホームランを打たれるので。力まないようにいきました」
言葉通りだった。カウント2―2からの5球目。内角に抜けてきた127キロのフォークをすくい上げるように振り抜くと、打球は高々と舞い上がり、左翼5階席へ消えた。「なんとか塁に出て、次の頼もしい後輩たちにつなぐ気持ち」だったというが、結果は一振りでゲームセット。ホームイン後にチームメートからウオーターシャワーを浴びても、その口から出たのは自らの一発ではなく勝利への思いだった。
「勝った瞬間だったので、そこが一番うれしかった」
ヒーローインタビューでも虎番記者の囲み取材でも姿勢は変わらない。サヨナラ本塁打で試合を決めた価値を問われても「それはどうでもいいです。とにかくチームが勝つことが、どんな形であっても、今勝つことが一番なので」と言い切った。
自身4度目のサヨナラ弾という勲章より、いま必要な1勝――。派手な言葉はない。だが、自分の数字よりチームの勝利を語るその武骨さこそ、今の阪神を支える大山らしさだ。
藤川球児監督(46)も勝負強さをたたえた。「昨年もこの時期から非常に弾道の高いホームランを見ましたけど、勝負強さを見せてくれました」。決して楽な試合ではなかった。先発の村上は6回2失点。再三得点圏に走者を背負いながら粘り、及川、湯浅、桐敷とつないで1点ビハインドのまま9回まで望みをつないだ。
指揮官は「可能性は残せたし、残せるように本当にみんなで頑張って耐えて耐えてというところですから。野球の一つの流れの中で我慢すればいいことがある。タイガースらしいゲームかなと思います」とうなずいた。
最後に勝負を決めたのは大山だった。2位・巨人がDeNAに3―4で敗れたため、ゲーム差は「3」に拡大。連覇へ――。勝利だけを見据えるこの男のバットが、また虎を前へ進めた。













