高市早苗首相の陣営が他陣営への中傷動画作成や暗号資産「SANAE TOKEN(サナエトークン)」に関与したとされる疑惑で、高市首相の公設第1秘書の陳述書が22日、衆院予算委員長に提出された。野党側は24日の衆院予算委員会で追及するが、不完全決着の情勢となってきた。

 高市首相の秘書は昨年の自民党総裁選や今年の衆院選で、他陣営を誹謗中傷する動画をneu社の松井健氏に依頼した疑惑が報じられている。また松井氏が設計、運営したサナエトークンも事前に連携していた疑惑が持たれていた。

 高市首相は秘書から聞き取りしたとして、「私自身も秘書も(松井氏とは)面識がない」と否定していたが、国会は紛糾。先月、高市首相は「総理としての業務時間を確保できなくなっている」と秘書の陳述書を提出するとしていた。

 ようやく出てきた陳述書で、秘書は「他の候補者を誹謗中傷するような動画を作成・発信するようなことは行っておりませんし、第三者に依頼したこともありません。そのような動画を見たことも一度もない」「直接お会いしたことがない方については私としては『面識がない』としか申し上げようがない」「サナエトークンが暗号資産であるとかミームコインであるとの説明は一切ありませんでした」と従来の説明を繰り返した。

 この間、松井氏は共同通信の取材に対し、衆院選で高市首相の秘書から「今回もお願いします」と電話で依頼されたことや、サナエトークンに関しては「秘書には説明していたが、首相の了解を得ているかどうかは確認していなかった」などと証言。週刊文春では秘書から松井氏に送られたさまざまなショートメールの画像も報じられているが、秘書はあくまで松井氏は勝手連の一人で、「記録できているわけではない」「(やりとりの)記録はない」と主張。松井氏との食い違いは消えないままだ。

 中道改革連合の後藤祐一衆院議員は陳述書について、「ほとんど答えになっていない」と切り捨て、24日の予算委では1か月前に回答が得られなかった質問に1問を付け加えただけで、すでに質問通告を提出したことを明かした。また中道の長妻昭衆院議員は秘書の参考人招致を求め、国会閉会後に集中審議を開くように求めた。

 ただ、一連の疑惑解明は時間切れとなりそうだ。「疑惑噴出当初から高市首相はのらりくらりで、答弁書という手まで使って、提出したのが特別国会の事実上の会期末となる24日の2日前で、時間稼ぎをされた。野党は閉会中審査と言っているが、与党が応じるわけはない。24日の予算委をやり過ごせば、秋の臨時国会まで、少なくとも国会で追及されることはなくなり、逃げ切りでしょう」(野党関係者)

 収まらない野党だが、衆院では3分の2以上の議席を持つ巨大与党の前にはなすすべがないのが実情のようだ。