トランプ米大統領が、サッカー北中米W杯で優勝したスペイン代表の歓喜の瞬間を乗っ取ろうとしたとして、世界中から批判を浴びた。複数の米国やスペインのメディアが20日、報じた。歓喜の瞬間からトランプ氏は〝消された〟が、今大会をめぐるトランプ氏の横暴は〝逆MVP〟と言えるかもしれない。

 米ニュージャージー州イーストラザフォードのメットライフ・スタジアムで日本時間20日に行われた決勝戦は延長の末、1対0でスペインがアルゼンチンを下した。

 トランプ氏は、優勝したスペイン代表のMFで、大会最優秀選手賞(ゴールデンボール賞)を受賞したロドリに優勝トロフィーを授与。その後、スペイン代表がトロフィーリフトで優勝を祝う場面になっても表彰台の真ん中に居座った。

スペイン男子代表の公式Xアカウントに「遠くから近くから」という文章とともに投稿された画像では、右端のトランプ大統領が後ろを向いている(X@SEFutbolから)
スペイン男子代表の公式Xアカウントに「遠くから近くから」という文章とともに投稿された画像では、右端のトランプ大統領が後ろを向いている(X@SEFutbolから)

 トロフィーリフト直前には、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が急いでトランプ氏のもとへ駆け寄り、優勝チームの記念撮影の邪魔にならないよう表彰台の外へ誘導しようとしているようにも見えた。しかし、トランプ氏は壇上の端に移動したものの、選手たちの横に立ったまま。

 スモーク演出や紙吹雪が舞う中、スペイン代表の歓喜の瞬間がカメラに収められた。この時、オーストラリアの公共放送局SBSの実況者は、マイクが入ったまま「編集で彼(トランプ)を消せますね」と発言。スペインメディアは「トランプの目立ちたがり」「コミカルでシュールなトランプの一幕」と批判した。

 SNSでも「スペインが優勝して一番良かったことは、ステージ上で選手たちがドナルド・トランプを完全に無視していたことだ」「スペイン代表より目立とうとしていた」といった批判の声が相次いだ。

 物議を醸したこの事件後、FIFAはXの公式アカウントに掲載したトロフィー授与式の画像からトランプ氏をトリミングしたようで、画像にはトランプ氏の体のごく一部しか写っていない。

 さらにスペイン男子代表の公式Xアカウントは「夢はかなう」という文章とともに、トランプ氏がまったく写っていない画像を掲載した。別の投稿ではトランプ氏が後ろを向いている画像をアップするなどトランプ排除は徹底していた。

 トランプ氏の横暴は試合後だけではなかった。決勝戦中には、トランプ氏が優勝トロフィーに触れたことも物議を醸した。トランプ氏は、メラニア夫人やインファンティーノ会長とともに防弾ガラスで囲まれたVIP席から試合を観戦。テレビ中継では、トランプ氏がワールドカップの優勝トロフィーに手を伸ばして触れる様子が映し出された。

 この映像を見た視聴者は、SNSで〝暗黙のルール〟が破られたと批判。あるユーザーは「優勝者しか触れないはずなのに、トランプがトロフィーに触っていた」と投稿し、別のユーザーも「今、トランプがトロフィーに触った? そんなこと許されないはずだ」と書き込んだ。

 もっとも、FIFAの規則でトロフィーに直接触れることができるのは、「優勝チームのメンバー」または「国家元首」だけと定められているという。国家元首が触れていいのは、優勝者にトロフィーを渡すため。スペインメディアは「儀礼上、不適切」と非難した。

 大会期間中に政治介入騒動を起こしたこともまだ記憶に新しい。米国代表FWフォラリン・バログンに提示されたレッドカードを巡り、インファンティーノ会長に電話で異議を伝えたことをトランプ氏自ら明かしている。

 その後、バログンの出場停止処分は取り消され、ベルギー戦に出場したが、米国は敗れて大会から姿を消した。ほかのスポーツでトランプ氏とかかわると負けるという現象が相次いでいたそうで、この件も「トランプの呪い(トランプ・カース)」とささやかれた。

 トランプ氏は米国単独開催の主張をするほどご機嫌のようで自らの行いに反省はしていないようだ。