米国とイランによる停戦交渉は漂流するのか――。トランプ米大統領は8日、「イランとの停戦は終わった」と不満を口にした。両国は6月17日に戦闘終結への覚書に署名し、戦争終結への最終合意に向けて協議を行っていたが、ホルムズ海峡でまたも攻撃の応酬となってしまった。〝停戦終了〟の言葉の背景には、イランでトランプ氏暗殺のムードが盛り上がっていることもありそうだ。
米軍は同日、イランが関与したとされるホルムズ海峡での3隻の船舶に対する攻撃への報復として、イラン国内の80か所以上の標的を空爆したと発表。これに対し、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、米軍の攻撃への報復として、バーレーンおよびクウェートにある数十か所の米軍施設を攻撃したと発表した。
トルコで開かれたNATO首脳会議で停戦について質問されたトランプ氏は「彼らはごろつきの集団だ。私は彼らがまったく好きではない。われわれは彼らとの交渉で多くの時間を浪費した。彼らには能力がない」と批判。その後、「停戦は終わったのか」と質問されると「私の見方では終わった」と答えた。それでいて「交渉は継続できる」との意向も示した。
だが、やはりトランプ氏の不満はたまる一方のようだ。
「彼らは米国大統領である私を殺そうとしている。私は何年もの間、彼らの標的リストの一番上にいる。こうした『ガン』は早いうちに取り除かなければならない。それが私の考えだ」
トランプ氏が「停戦は終わった」とまで口にしたのは、イランによるホルムズ海峡での攻撃と、それに対する米軍の報復だけが理由ではない。イラン国内では、トランプ氏に対する暗殺を公然と呼び掛ける動きがあるからだ。
米国事情通は「トランプ氏が遠い米国ではなく、イランから手の届くトルコにいることで、イラン国内の強硬派が盛り上がってしまっているのです。イランの強硬派議員らがトランプ氏の暗殺を呼びかけ、それでトランプ氏は激怒したのでしょう。実際、2024年以降、IRGCの命令を受けトランプ暗殺を試みたり、計画したりした複数の男らが逮捕、起訴されています」と言う。
イラン国会議員ハミド・ラサイ氏は、イランのSNSヴィラスティに「ドナルド・トランプは今やわれわれの射程圏内にあり、NATO首脳会議のためトルコに来ている。今こそ建前を捨て、トルコ国内にいる彼の居場所をミサイルで公式に攻撃しよう」と投稿した。
また、8日にはイランの準政府系保守紙「カイハン」が、「私はトランプの首を望む」との見出しを掲載。記事の中で同紙編集長は、イラン政府がトランプ氏暗殺に対する公式な懸賞金制度を設けるべきだと主張している。
中東事情通は「現在、ハメネイ師の国葬が行われており、9日に埋葬されます。国葬・葬列は〝喪に服す〟という自制ではなく、報復感情を高める場にもなっています。反米や反トランプのスローガンが出ており、弔辞の場でトランプ氏殺害を求める発言もあります。イラン国内では、反米世論の演出として過激な言葉が出やすい状況なのでしょう」と指摘する。
米国とイランの戦争が終結するのは、いつになるのだろうか。











