ヘンリー王子らがハッキングなどの違法行為でプライバシーを侵害されたとして、デーリー・メール紙の発行元アソシエーテッド・ニュースペーパーズ・リミテッド(ANL)社を相手に起こした訴訟でロンドン高等法院は7日、ANL社の主張を認め、原告の訴えを退けた。英紙サンが7日、報じた。

 ヘンリー王子は、違法な情報収集をめぐり、ANL社に対して損害賠償を求めた7人の著名人のうちの1人だった。グループには、エルトン・ジョンとパートナーのデヴィッド・ファーニッシュ、女優のリズ・ハーレーとサディ・フロスト、そして活動家のドリーン・ローレンス男爵夫人らが含まれていた。

 原告側は1990年代から2011年にかけて同紙に掲載された記事は、ジャーナリストたちが私立探偵を雇って留守番電話をハッキングしたり、個人の医療記録を盗み出したり、電話を盗聴したりしていると訴えていた。

 しかし、高等裁判所の裁判官であるニックリン判事は、原告側は申し立てのいずれについても立証できなかったと述べた。同判事は訴訟の対象となった55の記事すべてが合法的な情報源に基づいていることを認めた。

 ANL社はこの判決を「圧倒的な勝利」であり、「デーリー・メールのジャーナリズムの正当性を証明するもの」だと称賛し、編集長のポール・デイカー氏は、この「でっち上げ」の事件は、報道機関に法的規制を押し付けようとする「悪質な企み」だと語った。

 さらには王室について繰り返して公に発言してきたヘンリー王子が、プライバシー侵害を訴えるのは矛盾していると批判した。

 一方、訴えを棄却されたヘンリー王子はローレンス男爵夫人との共同声明文で、この裁判の結果を「完全かつ明白な隠蔽工作」だと非難した。さらには「私たちは正義と責任追及を求めて法廷に来た。しかし、我々はどちらも受け取っていません。これは完全に明白な隠蔽工作だが、残念ながら全く予想外というわけではない。しかし、裁判所がデーリー・メール紙を無罪にするために取った手段は、衝撃的であると同時に、全く不当である。我々は当時説得力があると確信していた証拠を提示したが、それは今もなお説得力があると考えている」と主張した。

 判決によりヘンリー王子らは最大5000万ポンド(約108億円)の訴訟費用を負担する可能性が出てきた。

 この判決は、ヘンリー王子が英国訪問における最初の公務として、ロンドン中心部のチャタムハウスで開催された第14回インヴィクタス・ゲームズ財団のイベントに出席するため、会場に姿を見せたわずか数分後に下された。敗訴の知らせをイベント直前に知ったヘンリー王子はショックを受けた様子を見せたが、その後は気丈にスピーチを行ったという。