大相撲夏場所は5月10日、東京・両国国技館で初日を迎える。先の春巡業では横綱大の里(25=二所ノ関)、大関安青錦(22=安治川)がケガで離脱。万全の状態で本番を迎えられるかは不透明だ。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、混戦ムードが漂う夏場所を徹底予想。優勝争いの行方をズバリと占った。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 今回の夏場所は、混戦になりそうな予感がします。数場所前までは、大の里の力が頭一つ抜けていて優勝争いでも大本命でした。ところが、昨年九州場所で左肩を痛めてからは相撲が崩れ、本来の力を発揮できていません。安青錦も大関まで一気に駆け上がったけれど、綱取り初挑戦の春場所は負け越し。今場所は一転、カド番で臨むことになりました。

 それに加えて、先の春巡業では大の里は左肩痛、安青錦は左足小指の骨折で離脱しています。これまで幕内で一、二を争うほど安定感があった2人が、そろって不安を抱えている。初日までにどこまで調子を上げられるか分からないし、間に合ったとしても〝ぶっつけ本番〟になる可能性も…。始まってみないと分からないというのが、正直なところです。

 その中で、今場所は期待も込めて豊昇龍を本命に推したいですね。あの大きくはない体で自分の役割を懸命に務めようとする姿勢は、見ている側にも伝わってくる。本人も横綱初優勝にかける思いは強いはず。そのためには、勝負に対する「厳しさ」がカギになると見ています。豊昇龍は身体能力がずば抜けている半面、流れの中でとっさの反応に頼る相撲では取りこぼしも多い。

 立ち合いから詰めの部分に至るまで、相手に付け入る隙を与えない相撲を取り切れるか。その部分を磨くためには、日々の稽古が大事になる。叔父さんの朝青龍関は普段の稽古から隙を見せず、相手を打ちのめすぐらいの厳しさがありました。それが本場所での勝負にもつながってくるんですね。豊昇龍も見習うべきところだと思います。

 対抗馬には、2人の大関を挙げたいですね。霧島は春場所を制して大関復帰を果たしました。もともと安定感では幕内屈指。今場所も持ち前の粘り強さを発揮できれば、連覇の可能性は十分にある。琴桜は先場所で復調の兆しが見えました。やや腰高な点を修正して懐の深さを生かした相撲を取り戻せれば、1年半ぶりの賜杯も見えてくる。

新関脇となった熱海富士
新関脇となった熱海富士

 それから、新関脇の熱海富士にも展開次第では初優勝のチャンスがあると見ています。大きな体を生かしながら前に出る相撲が魅力で、相手はまともに圧力を受けるとさばき切れません。これまでに何度も優勝争いに絡んだことがあるし、あと一歩のところで悔しい思いをして期するものがあるはず。夏場所の主役に躍り出る力を秘めた力士だと思います。

 それ以外にも、今場所の新番付で上位の顔触れを見ると、藤ノ川や義ノ富士といった新三役を狙う若手もいて層が厚くなってきた印象がある。それぞれの力士が個性を発揮して、土俵を大いに盛り上げてもらいたいですね。それではまた!