今度こそ、番付の権威を示せるか。大相撲春場所9日目(16日、大阪府立体育会館)、横綱豊昇龍(26=立浪)が幕内隆の勝(31=湊川)を寄り切って2敗を死守。他の横綱大関陣が崩れるなか、優勝戦線に踏みとどまった。昨年春場所の新横綱から丸1年が経過しても、いまだ賜杯には届かず。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)が、覇権奪回のポイントを指摘した。
豊昇龍が首位を走る隆の勝を引きずり降ろし、優勝戦線に踏みとどまった。立ち合いは右へずれる動きでまわしを取りにいくが、手がかからない。相手の突き押しをのけぞりながらしのぐと、最後は右を差して一気に寄り切った。取組後は「何より勝ってよかった」と安堵の表情。「(まわしを)取れなくて失敗したけど、慌てず前に足を出して相撲を取れたから良かった」とうなずいた。
この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「立ち合いは狙い通りにいかなかったけれど、その後の動きは良かった。馬力がある隆の勝の攻めを下がらずに受け止めて、はね上げながら前に圧力をかけたことが勝ちにつながった。どんな形であっても勝ちにこだわる、豊昇龍の必死さが伝わってくる一番だった」と分析する。
今場所の土俵は〝荒れる春場所〟の様相を呈している。横綱大の里(25=二所ノ関)は、左肩の負傷により序盤で戦線離脱した。大関安青錦(21=安治川)も綱取りに失敗。大関琴桜(28=佐渡ヶ嶽)とともに優勝争いから脱落した。看板力士の中で、V圏の2敗に残っているのは豊昇龍1人だけ。横綱初優勝のチャンスである半面、V逸なら責任を問われる立場でもある。
秀ノ山親方は「まだ横綱として優勝していないだけに、今度こそという思いが強いはず。大の里が休場しているぶん、責任を感じながら戦っているのでは。地位の重みを示してほしい」と期待する一方で「厳しい相撲が取れる半面、時折〝ポカ〟もある。勝利への執念と、勝ち急ぐことは隣り合わせ。自分の相撲を取り切ることに集中できるかどうか」と横綱初Vのポイントを挙げた。
8日目には今場所2個目の金星を配給し、優勝争いの首位から陥落。これ以上の取りこぼしは、致命傷となりかねない。果たして豊昇龍は、悲願の賜杯までたどり着くことができるのか。残り6日間、最後まで気の抜けない戦いが続くことになりそうだ。












