フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成したプロスケーター・羽生結弦(31)が座長を務める「羽生結弦 notte stellata」が7日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開幕した。東日本大震災の発生から11日で15年を迎えるが、復興への願いは誰よりも強い。仙台の老舗百貨店・藤崎は、羽生の思いを間近で実感。仙台にルーツを持つ〝同志〟として、百貨店ならではの活動を行っている。

 アイスショーのタイトルは、イタリア語で「満天の星」を意味する。羽生が被災した際に暗闇の中で見た星空に希望を感じたことが由来。この日はスケーターとして「15年という時がたったからこそ、より一層、輪、絆を感じられるように」との決意を滑りに込め、会場に駆けつけた6500人の観衆を魅了した。

 2023年に始まった当公演は今年で4回目。羽生の一つひとつの行動は、地元の方々にとって大きな支えとなっている。藤崎の担当者は「15年という年月は通過点で、心の復興も含めて戻していくのは大変なこと。羽生さんはいつも被災地に足を運んでくださったり、この時期にアイスショーをやっていただくことで、地元を元気づけるための働きかけをずっと継続していく姿は私たちも学ぶものがある」と感謝を口にした。

 藤崎は東日本大震災で天井や柱の一部などに被害を受けた。それでも、翌日から缶詰や肌着などできる限りの商品を販売。「自分たちの復興ももちろん大事だけど、藤崎に期待して並ぶお客さまの気持ち、期待に応えたかった。そのような形で復興に取り組んできた」と振り返る。仙台発の百貨店として地元を第一に考えて行動してきた。

 仙台を愛する気持ちは羽生と同じ。藤崎も羽生の展示会などを開催し、復興活動に一役買ってきた。以前には北京五輪のフリーで演じた「天と地と」などで着用した衣装をイメージした伝統工芸品「玉虫塗」のオリジナルボールペンを販売。「百貨店は物を売ることだけではなく、文化的な価値とか、著名な方の功績を伝えるのも役割だと思っている。羽生さんの企画をやることに一切の迷いはない」と明かした。

 ボールペンの売れ行きは好調で、地元の工芸品をPRする貴重な機会になった。さらに売上の一部にあたる300万円を寄付。「羽生さんの被災地を思う気持ち、ファンの方の何かお役に立ちたいという気持ちを感じて、東日本大震災の防災や減災に使ってほしいとの考えがあった」と狙いを語った。

 復興へのゴールはまだ道半ば。だからこそ、ここで歩みを止めるつもりはない。羽生は「今その傷に向き合おうという気持ちも出てきた。逆にあれがあったからこそ、こうやって学んで生きている、強く生きているんだということを何か表現したい」。被災地で育った一人として、地元で起きた出来事を伝え続ける。