米国とイスラエルは2月28日に大規模な軍事作戦「オペレーション・エピック・フューリー(壮絶な怒り作戦)」を行い、イランの最高指導者ハメネイ師を殺害した。電光石火でトップの首を取ったと思われていたが、イランは反撃を続行。米国は長期戦を強いられる可能性が強まっている。

 ハメネイ師が死亡しても、イランは3人の高官による臨時指導評議会(暫定トロイカ体制)に最高権力を移行。湾岸諸国に無差別のドローン、ミサイル攻撃を行い、米国とイスラエルを泥沼化に誘い込んでいる。

 トランプ大統領はイランとの戦争について、「4週間のプロセスだと考えてきた」と明かしている。

 4週間でケリがつくというのか。米国事情通は「2003年のイラク戦争とは違い、イランのイスラム革命防衛隊は力と決意を持っています。また、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクの親イラン組織など、イランは長年、代理勢力を支援してきたので、革命防衛隊が湾岸諸国で混乱を拡大すれば、革命防衛隊と共に代理勢力もテロを展開することになります。とばっちりを受けた湾岸諸国を守るために、米軍はTHAAD(高高度防衛ミサイル)やパトリオットなどのミサイル迎撃システムを各国で使うことになり、迎撃ミサイルの備蓄が尽きる可能性があります」と指摘する。

 米国は、北朝鮮や中国への抑止のため、THAADなどを韓国やグアムに配備している。迎撃ミサイルの備蓄は極めて重要だ。備蓄が不安になれば、中国の台湾有事に対応できなくなる。4週間というのは、その備蓄を考えてのことだと思われる。

 そして、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことも大きい。世界の原油の約20%が通過する場所だからだ。

「イランが機雷、潜水艇、ドローンによるタンカー攻撃でホルムズ海峡封鎖を継続した場合、原油価格急騰や世界同時不況などが起こりかねないため、米・イスラエル対イランの戦争が世界経済危機に発展します。市場が耐えられるのが4週間程度という見方が出ています」(同)

 ロシア、中国としては、中東の混乱の拡大と、米国戦力の分散化は利益になると考えられる。

 ロシア事情通は「ウクライナで手いっぱいのロシアが参戦することはあり得ないでしょう。しかし、ロシアが裏で情報支援、中国が経済支援をすれば、長期化が考えられ、米軍の戦力を削ることができるでしょう」と話している。

 4週間後、事態はどうなっているのだろうか。

ドイツでは早くも石油価格が上昇し始めた(ロイター)
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