朝起きて、テレビをつけようとしたら無反応だった。おかしいと思ったら、コンセントが外れているではないか。いや、テレビだけではない。リビング中のコンセントというコンセントが外されていた。そう、飲み過ぎて久しぶりにやらかしたのだ。

 この奇行に関係しているのは、判断力や自制心、優先順位の整理を担っている脳の前頭前野。前頭前野は、アルコールの影響を最も受けやすい部位の1つだ。アルコールによって前頭前野の働きが弱まると、「何が重要で何がそうでないか」のバランスが崩壊。今やらなくてもいいことを急にやりたくなったり、逆に大事なことを後回しにしたりする。

 一方で、危険を察知する扁桃体などの本能的な回路は、酔っても比較的保たれる。扁桃体は火事や事故といった生命の危機を察知する「警報装置」のようなものだ。前頭前野の働きが低下しても、扁桃体の働きは止まらない。そのため、本来であれば「問題ない」と再評価されるはずの不安がそのまま残り、行動として表れてしまうのだ。私の場合、ニュース番組で、「コンセントにほこりがたまると火事になりやすい」という情報が頭のどこかに残っていたのだろう。それでコンセントを抜きまくったというワケだ。

 そして驚くことに、この日は友人からもらったいちご大福をベッドに持ち込み、一緒に寝ていたのである。これには、快感や安心感を司る「報酬系」の中心にある側坐核の働きが関係している。側坐核は、脳が「大事だ」と認識した対象を強く印象づけ、守ろうとする働きを持つ。大好物のいちご大福が大事で、そばに置こうと思ったのだろうか? シラフではまずありえない行動だ。

 酔っぱらいの行動は、一見すると単なる奇行に見える。しかしその裏では、アルコールによって脳の働きのバランスが変化し、本能と理性の主導権が入れ替わっている。酔った私は次に何をやらかすのか?楽しみにしている自分が怖い。