「最近、料理や酒の繊細な味が今ひとつ感じ取れない。もしかして、味覚障害だろうか?」
そんな小さな違和感を覚えたら、舌の老化ではなく「亜鉛不足」を疑ったほうがいい。亜鉛は味を感じ取る味蕾細胞の再生に不可欠な必須ミネラル。不足すると、細胞のターンオーバーが滞り、味覚が鈍くなることが医学的にも報告されている。
厄介なことに、酒好きほどこの亜鉛不足になりやすい傾向がある。アルコールを分解する酵素は亜鉛を材料として消費し、さらに腸での吸収も妨げてしまう。加えてアルコールの利尿作用によって、尿とともに出てしまうのだ。つまり飲めば飲むほど、体内の亜鉛がなくなってしまうというワケ。味が今ひとつ分からないのでもう1杯、それでも満足できずにさらにもう1杯。そんな悪循環に陥れば、味覚はますます鈍り、結果として酒量も増えがちになる。これでは舌と肝臓のダブル消耗戦になってしまう。
ちなみに、日本の食事摂取基準では、1日あたりの亜鉛の推奨量は成人男性で11㎎、成人女性で8㎎が目安とされている。だが、これはあくまで「通常の生活」を送る人を前提にした数字。日常的に酒を飲む人は亜鉛の消費量が多いので、実質的には基準値以上の摂取が良いとされている。ちなみに牡蠣なら5つ、牛赤身肉なら200gで基準値をクリア。とはいえ、毎日食べるわけにもいかないので、サプリメントで補えばいい。
実のところ亜鉛は味覚の他、免疫、皮膚や粘膜の修復、ホルモン代謝など多くの働きをサポートしている。そう、亜鉛は「ミネラル界の地味なエース」なのだ。
味覚が整ってこそ、酒のキレや余韻は生きてくる。これからはビタミンだけに特化せず、亜鉛も常備サプリメントの仲間入りを。どうせ飲むなら、最高のコンディションの舌で一杯目を味わいたい。うまい酒は、健康管理から始まっている。












