年末年始、おせちやすき焼きといったごちそうが続いた方も多いだろう。それはそれで幸せなのだが、普段は地味なアテで飲んでいるからか、元旦の翌日から派手なつまみを見ると、なぜか箸が止まってしまう。そんな時にちょうどいいのが、長野県松本地域で昔から親しまれてきたローカルフード「からしいなり」だ。からしいなりは、油揚げを裏返し、内側に和からしを塗ったいなり寿司である。
X友の投稿でこの存在を知り、作ってみたところ、これがまぁ絶品。見た目は地味だが、甘い油揚げと酢飯のあとに、からしの辛味がピリッと効くのが酒と良く合う。特に日本酒との相性はバツグンだ。ごちそう三昧で疲れた舌を、一度まっさらにしてくれる。
からしいなりは、長野県松本市の筑摩(つかま)神社が毎年1月14日に開催する「篝火神事」(かがりびしんじ)と深い関わりがあると言われている。篝火にあたり、甘く煮た油揚げとからしがセットになった「からしあげ」を食べれば、1年間無病息災で過ごせると言い伝えられているのだそう。
また松本市では葬儀や法事の際、油揚げを甘辛く煮たものが出されることも珍しくない。特別な名物というより、暮らしの中で自然に受け継がれてきた味とも言える。地元のスーパーの総菜売り場でも、からしいなりはかなり幅を利かせている。からしを添える理由や起源ははっきりしないが、相性の良さは疑いようがない。
間もなく訪れる2月1日は「初午」。稲荷神社の祭りの日で、いなり寿司を食べると縁起が良いとされている。年末年始からずっと続いたごちそうに一区切りをつけ、日常に戻るこの時期。今年はノーマルのいなり寿司ではなく、からしいなりを試してみるのも良さそうだ。派手さはないが、酒飲みの気分をきれいに切り替えてくれる。そんなローカルフードが、年明けのアテにちょうどいい。













