【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#657】イギリスのウェールズにおいては、死神的な存在として有翼女型の怪物「グラッハ・ア・リビン」の伝承が残されている。夢の悪夢「夢魔」に近い存在と言える。

 グラッハ・ア・リビンとは、言語学的に「性的な誘惑をする魔女」という意味合いであり、性的な快楽を伴う魔物と言っても過言ではないだろう。英語圏で「性的絶頂は小さい死」という表現があるが、この伝承においては、死神=性的な悪魔という図式が見事に成立するのではないだろうか。

 日本で言えば、「飛縁魔(ひのえんま)」と似ているかもしれない。恋愛という魔物に取り付かれて、火災を引き起こすところなどは、まさにグラッハ・ア・リビンそのものではないだろうか。

 なぜか全裸でいることが多く、片目が灰色で、残された片目が黒くオッドアイ状態になっている。オッドアイの猫や犬を悪魔と呼んだりする名残は、ここから来ているのかもしれない。

 一方、米国においては、戦場でこの悪魔が出現している。ベトナム戦争中に、ベトナム中南部の町ダナンにおいて、1969年8月、アール・モリソンは仲間の兵士ら数名と全裸の魔女に遭遇した。深夜1時半、偵察に出た彼ら部隊は、翼のある黒人女性が空中に浮いている状態に立ち会った。これなどは、まさにグラッハ・ア・リビンそっくりだ。その魔女は見事な黒髪をなびかせ、3メートル位上空を飛び、緑色に光輝くと突然姿を消した。

 それにしても、全裸で有翼で飛行するなど、創造的キャラクターで述べれば「デビルマンレディー」そのものではないだろうか。