上野動物園の双子のジャイアントパンダ、雄のシャオシャオと雌のレイレイが27日、中国返還に向け日本を出発する。日本は半世紀ぶりにジャイアントパンダのいない時を迎える。日中関係は悪化しており、当面、日本が代わりのパンダを入手できる可能性は非常に低いとみられている。パンダ外交を駆使する中国では、パンダを〝国宝〟扱いしている。

 1972年、日中国交正常化の象徴として、初めて「カンカン」と「ランラン」という2頭のパンダが日本に贈られた。その後、日本に来た十数頭のパンダや日本で生まれたパンダが国民的スターとなってきた。

 中国は80年代から、生息地の保全や種の保全に資する科学研究のための費用を毎年支払うことを義務付ける貸付制度を導入している。繁殖研究目的のレンタル制度の下では、貸したパンダおよび生まれた子供も保有権は中国にある。そのため、シャオシャオとレイレイは2021年に上野動物園で生まれたが、中国に返還されることになった。

最終観覧日には多くのファンがパンダ舎付近に集まった
最終観覧日には多くのファンがパンダ舎付近に集まった

 中国事情通は「中国人はパンダが大好きです。海外からパンダが帰国するたびに出発から帰国まで大々的に詳細に報道されます。今回のシャオシャオ、レイレイ返還も、最後のお別れに上野動物園に日本人ファンが詰めかけていることも含め紹介に中国で報じられ、そのニュースのコメント欄やSNSには祝福コメントがあふれています」と語る。

 中国のSNS微博では「国宝さん、お帰りなさい」「国宝をわが家に迎えよう」という書き込みのオンパレードだ。パンダが国宝と呼ばれる理由は深い。

「中国にしか自然生息しておらず、数が限られた希少な動物です。道教の観点では、クロシロ模様は、陰陽の調和を象徴します。仏教の観点では、パンダは肉食をやめ、菜食なので『包丁を置けば即仏になる』という教えに合致します。儒教の観点では、パンダはそもそもクマで力強いにもかかわらず、野生では天敵がいないため、平和の象徴となっています。そして、中国文化に欠かせない竹が主食。そのため、熊猫是中国的国宝(パンダは中国の国宝だ)と言われるのです」(同事情通)

 パンダが大切にされていることが分かる事件が先日あった。

 新華社通信などによると、成都市公安局成華区分局は18日、警情通報を発表し、「パンダに関する虚偽ニュースを捏造した2人が行政拘留された」と明らかにした。

 男2人が「成都で2頭の雄の四川ジャイアントパンダが初めて自然交配に成功」という虚偽ニュース記事の画像をAIで生成し、インターネット上に投稿・拡散した。警察は、ネット秩序を乱し、好ましくない社会的影響を与えたとして、拘留したのだ。

 このニュースに対し、SNSでは「国宝をアクセス稼ぎに使うのは、度を越している」などのコメントが寄せられている。シャオシャオとレイレイも〝国宝〟として、中国に迎え入れられることになる。