大相撲の元横綱白鵬翔氏(40)が単独インタビューに応じ、相撲への情熱を激白した。2010年から世界少年相撲大会「白鵬杯」を開催していることが評価され、日本財団主催の「HEROs AWARD 2025」を初受賞。昨年6月に日本相撲協会退職後はアマチュア相撲に軸足を移し、競技の普及活動に力を入れている。自ら目標に掲げる相撲の五輪種目採用へ向けた現在地から大相撲で活躍する後輩力士まで、大横綱が〝相撲愛〟を熱弁した。

 ――2月7、8日にトヨタアリーナ東京で開催される「第16回白鵬杯」では「女子の部」と「成人の部・男女」が新設

 白鵬氏(以下白鵬)五輪種目になるためには、女子相撲と国際大会が必要。そういう意味で白鵬杯は、大きな意味をもたらすと思う。

 ――昨年9月にタイ・バンコクで世界選手権を視察するなど、世界各国を回る中で得たものは

 白鵬 大相撲で同じ釜の飯を食ってきたエストニア出身の元大関把瑠都や、ジョージア出身の元小結黒海らと相撲に恩返ししたい気持ちがある。欧州にも行って相撲人気があることがわかったし、行って良かった。

 ――夏季五輪翌年に行われる国際競技大会「ワールドゲームズ」でも2001年秋田大会から相撲は5大会連続で実施された(昨年の中国・成都大会は不採用)

 白鵬 ワールドゲームズでも相撲が実施されているのは一つの強み。東京五輪で(日本)伝統の空手が採用されたこともある。9月に愛知県で開催されるアジア競技大会で何か見せられないかと思うし、JOC(日本オリンピック委員会)とも交流していきたい。そうなれば、五輪種目にまた一歩前進できる。

HEROs AWARD 2025を受賞した白鵬翔氏
HEROs AWARD 2025を受賞した白鵬翔氏

 ――将来的に五輪競技に選ばれたら大相撲の力士にも出てほしいか

 白鵬 今は考えていないけど、いずれそうなれば。今はアマチュア相撲と大相撲で、そんなに(力の)差がないと思う。いずれ五輪種目が実現すれば(プロとアマで)対戦して強い方が(国の代表として)出てくださいとなる可能性もある。

 ――大相撲時代に指導した伯乃富士、義ノ富士らが活躍している

 白鵬 少しずつ力をつけて番付を上げている。そのへんは、外から見ていてうれしい。(伯乃富士や義ノ富士は)間違いなくいいものを持っているから、ケガさえなければ大相撲の看板力士になっていくと思う。

 ――大の里と豊昇龍の両横綱については

 白鵬 誰が優勝してもおかしくない〝戦国時代〟に横綱になった2人は、(実力が)頭一つ抜けている。2人ともケガをしているわけだから、うまくケガと付き合っていけるかが、今後の優勝回数と横綱としての力士人生に関わると思う。

 ――自身は歴代最多の優勝回数45回。現時点で5回の大の里が今後に塗り替える可能性は

 白鵬 それは本人の意識と努力次第ですね。

 ――豊昇龍は横綱として賜杯を抱いていない。現状打破のためには

 白鵬 横綱と大関では、富士山のてっぺんと麓ぐらい精神的な部分で差がある。先輩横綱として2人(豊昇龍と大の里)にアドバイスするのであれば、自分の形を作って磨いて、いろんな角度から考えて土俵に上がり活躍してほしい。相手も生身の人間で、いろいろ考えてくるわけだから。

 ――新大関安青錦の強さとは

 白鵬 小さい体だけど、自分に合った相撲を取っている。今の幕内力士の中で、自分の相撲と勝つ相撲を彼ほど考えて実践している力士はいない。だから優勝したし、大関にも上り詰めた。

 ――ここから横綱になるために必要なことは

 白鵬 大の里、義ノ富士と、苦手な相手を克服しないといけない。苦手な相手がいなくなった時に、もう一つ上の番付が見えてくると思う。

 ――安青錦の大関昇進は母国ウクライナでも注目を集めている

 白鵬 大鵬さんの父がウクライナ人だった影響もあり、ウクライナでは相撲人気が高い。(自ら視察した)世界大会でも男女ともにウクライナ人の金メダルが多かった。(同国の)子供たちは大鵬さんを知っているし、相撲への意識が高いこともわかっている。戦争が終わったら安青錦とウクライナに行き、大鵬さんに恩返しがしたい。

 ☆はくほう・しょう 1985年3月11日生まれ。モンゴル・ウランバートル出身。宮城野部屋で2001年春場所初土俵。06年夏場所で幕内初優勝を果たす。07年夏場所後、横綱に昇進する。10年九州場所で史上2位の63連勝を記録。21年9月に現役引退した。優勝45度は史上最多。19年9月に日本国籍を取得する。22年7月に宮城野部屋を継承。25年6月に日本相撲協会を退職したことを明らかにした。身長192センチ。