【土俵の深層2025(上)】2025年の大相撲で最も衝撃的だった出来事は、元横綱白鵬翔氏(40)が夏場所後の6月に日本相撲協会を電撃退職したことだった。自身が師匠を務めていた宮城野部屋は弟子による暴力問題の影響で昨年3月に閉鎖され、師弟全員が伊勢ヶ浜部屋へ転籍。それから1年が経過しても部屋を再開できない状況に耐えきれず退職を決断した。

 くしくも、伊勢ヶ浜部屋の師匠が元横綱旭富士から元横綱照ノ富士(現伊勢ヶ浜親方)に交代するタイミング。白鵬氏の退職の理由として一部で報じられていたのが、元照ノ富士との「不仲説」だった。ただ、白鵬氏は「『照ノ富士の下が嫌だ』は、全くありません」、元照ノ富士も「自分と白鵬関の間では一切、個人的な悪い関係はない」と否定している。

〝本当の関係〟は、どうだったのか。角界関係者は「腹の底までは分からない」と前置きした上で「少なくとも表面上は、仲が悪いという印象は全くなかった。2人だけで食事や飲みに行ったこともあると聞いている。照ノ富士の方から誘ったこともあるそうだ」と証言する。照ノ富士が1月に引退すると、白鵬氏が親方としての気構えを1時間にわたって親身に助言したこともあった。

 一方で、同じ一門の親方は「先輩と後輩の関係でいる間は問題ないが、照ノ富士が師匠となれば2人の立場は完全に変わる。照ノ富士はやりにくくなるし、白鵬にもプライドがある。白鵬は他の部屋に移る道も断たれ、自ら身を引くしかなくなった」と退職劇の背景を指摘した。

 白鵬氏は、角界を離れてアマチュア相撲界へ転出。競技の五輪種目採用などを目標に掲げている。優勝45回を誇る大横綱は、再び大相撲と交わる日はやってくるのか。

白鵬氏の真意はいかに…
白鵬氏の真意はいかに…