【土俵の深層2025(中)】2025年の大相撲で明るい話題となったのは、2人の新横綱が誕生したことだ。一人横綱だった照ノ富士(現伊勢ヶ浜親方)が1月の初場所で引退すると、入れ替わるように豊昇龍(26=立浪)が横綱へ昇進。大の里(25=二所ノ関)も5月の夏場所で綱取りを果たし、東西に横綱が並び立つ形となった。

 9月の秋場所では両横綱による決定戦が実現し、大の里が優勝。横綱審議委員会(横審)の大島理森委員長(元衆議院議長)は「大豊時代がきた」と新時代の幕開けを歓迎した。ただ、まだ本格的な2強時代が到来したとまでは言い切れない。

 豊昇龍は横綱となってから優勝がなく、在位5場所で休場が2度。金星配給は10個に及んでいる。11月の九州場所では大関昇進前の安青錦(21=安治川)に本割と決定戦で連敗してV逸。綱の面目を保てなかった。大の里は同場所で年間4度目の制覇を目指したが、終盤に左肩を故障。優勝がかかっていた千秋楽の土俵に立てず、初土俵から初の休場を経験した。

 日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は大の里のこの1年について「よくやったと思う」と評価する一方で「ケガをしない体をつくり上げてほしい。今までは馬力で持っていけたが、上位が強くなってくるとギリギリの相撲になってくる」と一層の鍛錬を求める。豊昇龍に向けては「(合口が悪い)安青錦と稽古すること。(攻略法は)稽古をしないことには分からない」と注文をつけた。

 新大関安青錦をはじめ、番付上位に若手が台頭しつつある中で、両横綱は最高位の権威を示すことができるか。初場所(来年1月11日初日、東京・両国国技館)で真価が問われることになる。

昭和を代表する大横綱、大鵬(1962年、蔵前国技館)
昭和を代表する大横綱、大鵬(1962年、蔵前国技館)