【土俵の深層2025(下)】2025年の納めとなる11月の九州場所で、角界に新たな看板力士が誕生した。ウクライナ出身の安青錦(21=安治川)が初優勝を果たし、大関へ昇進。次の横綱候補に名乗りを上げた。レスリングで鍛えた腹筋や背筋の強さを生かした低い姿勢からの攻めが持ち味。その素質を開花させたのが、師匠の安治川親方(元関脇安美錦)だ。
師匠は現役時代、角界屈指の業師として活躍。ただ、安青錦に対する指導で重点を置いてきたのは四股やすり足、ぶつかり稽古などの基礎を徹底してやらせることだった。「四股を踏んだりするのは、すごく退屈なんですよね。自分との闘い。地味ですし。そこを我慢して続けてきたのが、結果に出た」と基本の重要性を力説する。
その上で「まだ何も完成していない。体も、相撲に関しても、まだまだこれから。どんどん稽古して、横綱を目指して強くなる努力を一緒にしていきたい。今の相撲を軸に、安青錦らしい相撲をつくり上げていきたい」と〝完成形〟の構築に意欲。安青錦も「全部を強くしないと上がれない。稽古をしてさらに強くなりたい」と意気込んだ。
安青錦は2022年に母国の戦禍を逃れて来日し、安治川部屋へ入門した。師匠は「部屋を興す時に出会って、初めは断るつもりだったんだけど…。本人の目を見ていい目をしていたので、ウチで一緒にやろうと。いい出会いだった」。新大関は「外国人は1人しか部屋に入れない。自分を選んでくれてすごく感謝しています」と今でも恩義を感じている。
固い絆で結ばれた師弟は、新たな年に二人三脚で番付の頂点を目指す。












