共存か、競合か――。日本相撲協会を退職した元横綱の白鵬翔氏(40)が9日、都内で会見。今後に向けて「世界相撲グランドスラム」構想を披露し、アマチュア相撲の発展と五輪競技採用を目指す活動に取り組む考えを明かした。現時点で相撲協会側は静観の構えを見せる一方で、親方衆らは実質的な「プロ化」を警戒。「ファンや力士を持っていかれるのでは」と危機感を募らせている。
白鵬氏は会見で「今後は相撲協会の外の立場から、相撲を発展させる活動をしたい。今まで15回にわたり(少年の)国際相撲大会『白鵬杯』をやってきた。これをベースに『世界相撲グランドスラム』の構想のもと、日本のみならず、世界中のより多くの人たちに相撲の魅力を広げる」と宣言。「相撲が五輪競技になる夢を見て、一から努力していきたい」と意気込んだ。
白鵬氏は新たに設立する新会社の代表に就任。主な活動として「アマチュア相撲の活性化」を挙げている。この白鵬氏の動きに対して、相撲協会側は現時点で静観の構え。ただ、すでに親方衆らの間では急速に危機感が強まっている。白鵬氏によるプロジェクトが将来、実質的な「プロ化」へとかじを切る可能性も否めないからだ。
大相撲は昨年の年6場所、90日間のチケットが完売する一方で、新弟子の人数は減少の一途。力士の総数は「若貴ブーム」の追い風を受けた1994年夏場所の943人から、今年の夏場所の時点で612人にまで落ち込んでいる。
先細りの要因は、少子化やスポーツの多様化などさまざま。ただ、大相撲の将来を見据える上で、現行の制度にはいくつかの決定的な〝弱点〟があるという。その一つが、給料が支払われるのは十両以上の関取衆だけで、幕下以下の力士は無給(手当を除く)であることだ。
かたや、両国や浅草の周辺では〝相撲ショー〟が盛ん。店舗内に土俵を備え、元力士による相撲の実演、客の相撲体験に飲食を組み合わせたもので、訪日外国人らを相手に活況を呈している。新規出店が相次いでおり、出演する元力士に支払われる給与は月額50万~70万円とも言われている。
30代の若手親方は「相撲の強さや技術とは関係なく〝元力士〟というだけで、それだけのお金がもらえている。(白鵬氏による)新しい相撲に入った時点で一定の収入が見込めるとなれば、高校や大学で相撲をやっている有望な子たちがそちらに流れてもおかしくない」と危機感をあらわにする。
さらに、大相撲の伝統文化やしきたりが発展の妨げになっているとの見方もある。角界関係者は「(白鵬氏は)大相撲というものを熟知しているぶん、どこをどう変えていけばいいのかをよく分かっている。向こうは日本ではなく、世界が基準。取組をショーアップして、出場する力士の実力も伴ってくれば、ファンや力士を持っていかれてしまうのでは」と戦々恐々だ。
白鵬氏が率いる新会社と相撲協会の関係は共存なのか、競合なのか。大横綱の今後の動向から目が離せない。












