夏休みに入り、暑い日々が続いている。よく晴れる日も続いているので、海水浴に向かう人も多いだろう。

 地球の7割を占める海は近年でも新種の生物が発見されるなど、人類がまだ知らない領域が多いフロンティアでもある。

 そんな海にいるのではないかと考えられている未確認生物といえば、ヘビに似た巨大な体を持つ「シーサーペント」だろう。この連載でも、姿も形も様々なシーサーペントの仲間たちを何度か取り上げてきた。

 今回紹介するのは、シーサーペント目撃例の中でも特に有名な1841年10月の英国フリゲート艦ディーダラス号乗組員らが目撃した事例だ。

 ディーダラス号は東インドから帰国の途中、喜望峰とセントヘレナの間で奇妙なウミヘビ形の生物を艦長はじめ乗組員の多くが目撃した。その生物は時速12〜15マイルほどのスピードで南西の方へ泳いでおり、20分ほど視界内にいたが、やがて船尾の下を通って海の中へ消えて行ったという。

 海面には60フィートもの大きさの体が一直線になって見えていたが、海の中にはまだ30~40フィートは隠れているように見えたという。

 このシーサーペントは全体の色が暗褐色で、喉の辺りが黄色がかった白、ヒレはなく馬のタテガミないしは海藻の束のようなものが後頭部についていたという。頭部はヘビのもので、口中には大きなギザギザの歯が生えそろっていたという。

 ディーダラス号はそのまま時速8マイルで北に進み、7月30日に喜望峰を抜けて8月16日にセントヘレナへ到着したと、1848年10月10日のタイムズ紙は伝えている。

 この話は多くの人物が目撃していたこと、艦長が非常に克明な記録を残していたことなどから代表的なシーサーペント目撃事件となっている。

 彼らが目撃したものが本当に巨大なウミヘビだったのかについては今でも明確な結論が出ていないが、一つの興味深い記録が残っている。

 同年、ディーダラス号がウミヘビを目撃した海域の近くで、ブラジリアン号という別の船がディーダラス号が目撃したものと非常に酷似した巨大な生物を海中に発見。やはり、タテガミのある首を水上に出していたという。

 そこでブラジリアン号の船長はボートを出し、もりを持った乗組員を乗せて怪物の方へ近づけた。すると、一見巨大なウミヘビに見えたそれは非常に巨大な海藻の塊であったことが判明したのだという。

 ブラジリアン号が見つけた海藻の塊がシーサーペントの正体だったのか?

 それともシーサーペントのタテガミは海藻が絡みついていただけで、剥がれ落ちたものがブラジリアン号に発見されたのだろうか? 真相が深い海の底から姿を現す日は来るのだろうか。