まさかの〝落とし穴〟だ。大相撲九州場所11日目(19日、福岡国際センター)、横綱大の里(25=二所ノ関)が小結隆の勝(31=常盤山)の引き落としに屈して痛恨の黒星。横綱昇進後初の連敗を喫した。9連勝からの失速で優勝争いは混戦模様へと急変。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は大の里の敗因を分析するとともに、終盤戦の展開を占った。
大の里が痛恨の連敗だ。隆の勝に右ノド輪で突き起こされると、相手の引きに足がついていかず、土俵に腹ばいになった。取組後の支度部屋では「下半身が伸び切ってしまった。左を使っていたつもりだったけど、攻めていけなかった。明日からまた集中していきます。残り4日間、しっかりやっていくことが大切」と懸命に気持ちを切り替えた。
前日10日目には平幕の義ノ富士(24=伊勢ヶ浜)に金星を配給。大の里の連敗は横綱昇進後初めてだ。連覇に挑む今場所は初日から9連勝で圧勝のムードが漂っていたなか、突然の失速で状況は一変した。優勝争いは大の里、横綱豊昇龍(26=立浪)、新関脇安青錦(21=安治川)が2敗でトップに並び、平幕力士3人が1差の3敗で追走。一気に混戦模様となった。
首位を快走していた大の里に、何が起きているのか。秀ノ山親方は「前日は義ノ富士に一方的に押し出されて負けている。その残像が頭の中に残っていたのでは。この日は馬力があって、当たりが強い相手を過剰に意識してしまった印象。立ち合いの踏み込みが中途半端で、その後も攻め急いで体が流れてしまった。考えすぎて空回りしていた」と相撲内容を分析する。
その上で「今場所の前半は精神的にも落ち着いていて盤石に見えたけれど、一つの負けからリズムが崩れてしまうのが相撲の難しいところ。ここで守りに入らず、攻めの気持ちを取り戻せるかどうか」と立て直しのポイントを挙げた。痛恨の連敗とはいえ、大の里が首位に立つ状況に変わりはない。秀ノ山親方も、終盤は実質的に豊昇龍との〝マッチレース〟になるとみている。
「豊昇龍は前半で2敗したけれど、後半に入ってからどんどん調子を上げてきている印象。立ち合いの集中力、勝負に対する厳しさが見ている方にもひしひしと伝わってくる。大の里とは合口がいいだけに(本割で7勝1敗、不戦を除く)、がぜん燃えているのでは。逆に、大の里は本当に強い横綱になれるかが試される場面。最後は精神力の勝負になる」
大の里の連覇か、豊昇龍の横綱初優勝か。それとも…。残り4日間の土俵から目が離せない。












