角界の超人だ。大相撲九州場所8日目(16日、福岡国際センター)、幕内玉鷲(41=片男波)が横綱大の里(25=二所ノ関)を相手に存在感を示した。横綱を土俵際まで押し込んで強烈なノド輪でのけぞらせたが、最後にはたき込まれて逆転負け。取組後は「取り逃がした」と惜敗に悔しさをにじませつつも「(観客が)みんな喜んでくれたし、精いっぱいやった」と胸を張った。

 この日に誕生日を迎えた玉鷲は、昭和以降で3人目となる41歳の幕内力士となった。年6場所制以降では初めて。幕内出場1445回も達成し、魁皇を抜いて歴代単独2位に浮上した。中日を終えて4勝4敗の五分。あと2勝で貴乃花の幕内701勝(歴代10位)に並ぶほか、勝ち越せば来場所では最年長三役の可能性もある。

大の里(奥)をノド輪で土俵際まで追い詰めた玉鷲
大の里(奥)をノド輪で土俵際まで追い詰めた玉鷲

 衰え知らずの鉄人ぶりには、親方衆も驚くばかり。現役時代に39歳まで土俵に上がった西岩親方(元関脇若の里)は「高安も35歳になって、これだけ元気にやっているのは立派ですよ。だけど、今は玉鷲がいますからね。そういう点では、高安はまだまだ〝若手〟。玉鷲がいなかったら、大ベテランなんですけど」と指摘する。

 同親方の弟弟子にあたる小結高安(35=田子ノ浦)も、今場所は大関琴桜(27=佐渡ヶ嶽)を撃破するなど奮闘。本来であれば大ベテランと称される年齢にもかかわらず、玉鷲がいるだけで若手と錯覚してしまう…。もはや、角界の価値観を覆す「超人」と言っていい存在だ。その玉鷲は「(相撲は)年じゃない、心。40代をナメんな」とニヤリ。常識破りの活躍は、まだまだ続きそうだ。