令和の武士だ。大相撲夏場所千秋楽(24日、東京・両国国技館)、小結若隆景(31=荒汐)が大関霧島(30=音羽山)との決定戦を制し、4年ぶり2回目の優勝を果たした。かつての大関候補は右ヒザ手術を受けて一時は幕下まで転落。どん底から不屈の闘志ではい上がり、奇跡の完全復活を遂げた。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)は、若隆景の今場所の相撲を徹底分析した上で〝品格〟を絶賛。今後の大関取りにも太鼓判を押した。
若隆景が再び大関候補に名乗りを上げた。本割では幕内藤凌駕(藤島)を肩すかしで退けて12勝目。優勝の行方は星で並んだ霧島との決定戦へと持ち越された。若隆景は鋭く踏み込んでから右腕で相手を押し込むと、左でおっつけながら一気に押し出して完勝。2022年春場所の初優勝以来、25場所ぶりに賜杯までたどり着いた。
23年の春場所で右ヒザ前十字靱帯断裂の大ケガを負った。手術と長期離脱により、番付は幕下まで転落。地道な努力を重ねて、番付をはい上がった。表彰式の優勝力士インタビューでは「ケガをした時に、常にそばで支えてくれた家族の前で優勝できてうれしい。今日も朝、子供たちに『優勝してね』と言われていたので。優勝した姿を見せられて良かった」とかみしめた。
秀ノ山親方は若隆景の相撲内容について「霧島との決定戦は、立ち合いの研ぎ澄まされた集中力、持ち前の重心の低さと前さばきのうまさが発揮された一番。霧島を引かせる厳しい攻めで一方的な流れになった」と分析。「もともと実力者だったけれど、大ケガをしてから前に出る意識が一層強くなった印象。今場所全体を通じて自分から積極的に攻める相撲が光っていた」と高く評価した。
さらに、秀ノ山親方は若隆景の〝品格〟にも注目する。「まるで武士のようなたたずまい。淡々と仕切る表情の中にも、目の前の一番にかける静かに燃えるような闘志がにじみ出ている。相撲も小細工をして勝ちにいかず、愚直に自分の相撲を取り切ろうとする姿勢を貫いていた。大ケガを克服した苦労人だけに、ブレない心、精神的な強さがある」と絶賛した。
この日、浅香山審判部長(元大関魁皇)は若隆景の大関取りについて言及。「起点になる。(来場所以降に)結果を出していけば、上も見えてくる」と明言した。秀ノ山親方も「優勝したことはもちろん、相撲内容も申し分ない。今場所のような相撲を続けていけば、安定した成績を残せるはず。大関も十分に狙える」と太鼓判を押した。
新関脇の熱海富士(伊勢ヶ浜)、琴勝峰(佐渡ヶ嶽)ら20代の力士が台頭する中、かつての大関候補が貫禄を示して復活V。来場所以降も活躍が期待できそうだ。













