〝賜杯独占〟なるか。大相撲九州場所初日(9日、福岡国際センター)、横綱大の里(25=二所ノ関)が小結高安(35=田子ノ浦)を力強く寄り切って快勝。2場所連続6度目の優勝へ向けて好発進した。今場所で賜杯を抱けば、年間6場所のうち4度制覇。日本出身力士では1996年の貴乃花以来、29年ぶりの快挙となる。大横綱への道を着々と歩む横綱に対して、角界内では早くも「白鵬超え」を期待する声が上がっている。

 大の里が2連覇へ向けて好スタートを切った。元大関で実力者の高安を力強く寄り切って白星発進。取組後は「落ち着いて対応できて良かった。15日間は長いので、しっかり集中してやっていきたい」と気持ちを引き締めた。土俵下で審判長を務めた高田川親方(元関脇安芸乃島)は「強い相撲。安定性がある。途中でいなされても問題なく一気に出た。大の里らしい馬力のある相撲で良かった」と相撲内容を絶賛した。

 今場所も、優勝争いで大本命のポジションは揺るがない。9月の秋場所では横綱として初優勝を果たし、自身初の年間最多勝も早々と確定させた(現在61勝)。現役最多の優勝5回は、横綱豊昇龍(26=立浪)の2回を大きく上回る。今場所で連覇達成なら、年間で4場所制覇。日本出身力士では1996年の横綱貴乃花以来、29年ぶりの快挙となる。

 番付上は豊昇龍とともに東西横綱が並び立つ状況とはいえ、実質的に土俵は大の里による「1強時代」の様相。親方衆の間では、大の里が「大横綱」と呼ばれる日も遠くないとの見方が強まりつつある。日体大の先輩でかつて二所ノ関部屋付きで大の里を指導した中村親方(元関脇嘉風)も、そのうちの一人だ。

 中村親方は「大の里は(本場所の15日間で)豊昇龍に負けたとしても、平均的に13勝、悪くても12勝するだけの実力がある。優勝争いという点では(明確な)対抗馬がいない」と指摘。その上で「大の里は今、25歳でしょ? あの体でケガをせずに10年やったら、これから何回優勝するんですかという話。白鵬関の優勝45回を抜く可能性もある」と大きな期待を寄せている。

 今後10年間で年4回以上のペースで優勝を重ねていけば〝不滅の金字塔〟とみられていた白鵬の「V45」も十分にクリア可能というわけだ。果たして大の里は、大相撲の歴史にさん然と輝く大横綱の系譜に名を連ねることができるのか。まずは1年納めの九州場所を優勝で締めくくり、貴乃花が残した記録に肩を並べたいところだ。