日本代表が7―61で敗れた1日(日本時間2日)のラグビーテストマッチ・対南アフリカ代表戦(ロンドン)では珍しい同時進行が2つ繰り広げられた。

 日本が劇的勝利で南アを破った2015年W杯以来となった、英国での両者の対戦。日本時間午前1時10分に始まった試合は、NHK総合とWOWOWなどが生中継。WOWOWの実況はNHKを今春退局した豊原謙二郎アナが行った。

 豊原アナは15年W杯での対戦を担当し、カーン・ヘスケスの決勝トライの際、「行け~!行け~!」と絶叫したことで知られる。この映像は今年6月、NHK「新プロジェクトX」のラグビー特集で流れたばかり。今回、いわば裏かぶりで古巣との〝競演〟中継となった。

 その試合当時と同じ、赤白の格子模様のネクタイで放送に臨んだ豊原アナ。あいにく南アの一方的な試合となり、後半に日本が早大3年のFB矢崎由高が一矢を報いた時も「そのまま行く~トライ」と興奮はなく、比較的落ち着いたアナウンスで伝えた。

 一方のNHKは酒井良彦アナに、15年の一戦に出場した元代表FB五郎丸歩氏、FW畠山健介氏の解説陣。矢崎のトライ場面はやはり「行った~トライ」だった。WOWOWの解説者は、元日本代表大西将太郎氏と15年メンバーの元代表SH田中史朗氏。この試合はまた、J SPORTSも当時名セリフを発した矢野武アナの担当で生中継し、異例のトリプル同時放送に。

 3局同時となった背景には、今秋のテストマッチの枠組みが関係しているとみられる。

 南半球の国が北半球に遠征する秋のテストマッチシリーズ(今回は米国も)。この主体となるシックス・ネーションズは欧州6か国対抗を行い、日本ではWOWOWが独占放送・配信している。今回の日本対南アはこのシリーズの枠外のため、WOWOW以外の放送も可能だったようだ。

 一方、この試合は同じロンドンで行われたイングランド対オーストラリア戦の後半とかぶる異例の日程となった。イングランドが25―7で勝った一戦は、ラグビーの聖地であるアリアンツ・スタジアム(トゥイッケナム)で約1時間早く始まった。日本戦はサッカーの聖地ウェンブリー。自国代表戦とほぼ同時間帯に、同じ都市で第三国同士が戦う異例の同時進行も展開していた。