高市早苗首相と中国の習近平国家主席が10月31日、韓国・慶州でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、会談した。

 両首脳は日中が対話の継続、関係安定を重視する姿勢で一致し、日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」を包括的に推進する方針を確認した。

 高市氏と習氏の初会談は、メディアの大きな注目を集めた。高市氏はこれまで中国に対して強硬な発言を繰り返してきたため、中国側が高市氏の首相就任を警戒していたとみられるからだ。高市氏の首相就任時、習氏は慣例となっている祝辞を自ら送るのではなく、李強首相を通じて祝辞を送っていた。

 中国の事情に詳しい関係者は「中国は抗日戦争勝利80年ということで、抗日映画を多数製作するなどして盛り上がっている中、保守路線の高市氏が首相となりました。とはいえ日本にとって中国は最大の貿易相手国なので、高市氏は現実路線を取るだろうとみていました。実際、高市氏が靖国神社の秋の例大祭での参拝を見送ったことや、先日の日米首脳会談で中国を敵視する発言がなかったことにより、高市氏との会談を決めたということです。日米韓の同盟にくさびを打ち込んでおきたいという意向もあるでしょう」と指摘する。

 それでも、日中首脳会談は、トランプ大統領との会談と異なり、緊張感が漂っていた。中国メディアは「高市氏は笑顔を作ろうとしたが表情は硬く見えた」と報じた。

 高市氏は、中国新疆ウイグル自治区と香港における人権問題について「深刻な懸念」を表明し、中国と台湾の安定した関係が「地域の安定の鍵」だと述べたという。

 前出関係者は「中国本土国営メディアは、会談した事実だけを短く報じただけです。これまで中国は、ウイグル問題などを内政干渉として反発してきました。高市氏がその敏感なテーマに触れたことで、中国は今後も高市政権を慎重に評価していくと予想されます」と話した。