患者さんが自身で撮影したアトピー画像から重症度をAIが自動的に解析・評価するAIモデルが開発された。開発に携わった専門家に話を聞いた。
【写真からAIが重症度を判断する】
短く「アトピー」と呼ばれるアトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症に伴って、かゆみのある湿疹が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気だ。アレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られるが、その患者数は近年急増傾向にある。100万人を大幅に超えるともいわれている。
そんなアトピーの患者さんに朗報が届いた。慶應義塾大学医学部などの共同研究チームが、アトピー患者さんが自身で撮影した皮疹画像から重症度をAIが自動で解析・評価する新たなAIモデルを開発したことが国際医学誌「Allergy」で発表されたのだ。
「AIモデルは、患者さんが日々の生活の中で自ら皮膚の状態を継続的・医学的・客観的に把握することを支援します。これまでは病院で診察しなければ分からなかったことが、診察室の外でも気付いたり判断したりするのを助けてくれるツールとなります」と語るのは、AIモデルに用いられている国内最大級のアトピー患者さん向け投稿アプリ・アトピヨを開発したアトピヨ合同会社の赤穂亮太郎代表だ。
AIモデルが開発された背景には、アトピーの治療には個々の患者さんに応じた治療が望まれるのに対して医療機関が限られた時間で個別化治療を実現するのが容易でないという状況がある。そこで着目されたのが近年目覚ましく発展しているAIの画像分析だ。その技術を活用して、患者さんが日常生活で気になった皮膚症状をAIが解析し客観的に重症度を判定するAIモデルを慶應大学医学部、慶應大学病院、京都府立医科大学、帝京大学、アトピヨ合同会社が共同で開発した。
【症状悪化を早めに検出できる可能性も】
投稿アプリ・アトピヨにはアトピー患者さん約3万人が参加している。その患者さんたちが撮影した投稿画像約6・7万枚がアプリ内に蓄積されており、AIモデル開発に活用された。
AIモデルは、撮影された患部の写真から重症度を評価してくれる。その重症度判定の精度は、専門医の評価と「強い相関関係がある」ことが既に検証されている。日常生活の画像データを使ったAIモデルの有効性が証明されたことによって、今後は患者さん一人ひとりのニーズに応じた医療支援に役立つと期待されている。
研究チームでは今回のAIモデルを評価ツールとして臨床研究に活用し、治療効果の予測や症状悪化の早期検出をサポートすることを予定している。
一方、AIモデルの検証の中では、患者さんが主観的に評価したかゆみの程度はアトピーの重症度と必ずしも一致しないという結果も出ている。つまり、客観的な症状の評価にはAIモデルが判断するような指標が必要なことを示している。
「AIモデルは今後、患者さん自身によるセルフモニタリングができるような応用なども考えられます」と赤穂氏は説明してくれた。












