オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第258回は「おさがみ様」だ。

 腰まで伸びた長髪を持っている。また、切れ長の目、ニヤニヤした口元、そして全身には何も身に着けていない。つまり、全裸である。

 目をつけた人間の後を、徹底的に追い掛ける。そして最後には、人間の精気を吸い取って殺してしまう恐ろしい妖怪である。

 人間の後をつけてくる妖怪はいくつかいる。伝承妖怪でいえば、神奈川県丹沢地方東部に伝わる「後追い小僧」が挙げられる。これは丹沢山系を山歩きする人の後をつけ回す魔物である。ただ後をつけてくるだけで何もしない。追いかけてくる姿をちらりちらりと見せるだけの妖怪である。

 他には、メジャーどころの妖怪として、「送り狼」が挙げられる。これは山を歩く人間の後をつけてくる妖怪であり、うっかり人間が山道でこけてしまうと、たちまち襲いかかり食べてしまう。もし、こけてしまった場合でも、「おっと、一休み、ここら辺でしようか」と言うと、難を逃れられる。ある意味、夜歩く人間の守り神的な妖怪ともいえる。

 あと、後をつけてくる妖怪としては「べとべとさん」がいる。この妖怪は人間の後をつけてきて、べとべとという足音を立てる。しかし、素直な妖怪なのだろうか「べとべとさん、先へお越し」と声をかけると、追い越して先に行ってしまう。