オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第257回は「嫌われ虫」だ。

 昆虫の妖怪である。山に住んでおり、この昆虫に刺されると、他の虫が嫌って、刺してこない。そのため「嫌われ虫」という名前がついた。

 この妖怪に刺されると、しばらくの間は嫌われ虫効果が続き、他の虫に刺されないが、数か月たつと刺される頻度が高くなる。

 昆虫系妖怪は、いくつか伝承されている。伝承妖怪で言えば、「ツツガムシ」が一番に挙げられる。この虫に刺されると命を落としてしまう。

 他には、皿屋敷伝説の舞台となった井戸に湧いた「お菊虫」がある。これは、お菊の怨念により生まれた妖怪であり、お菊が後ろ手に縛られている形状をしている。

 また、桶狭間の戦いで、織田信長に討ち取られた今川義元は、死後「大ホタル」になって虚空をさまよったと言われている。

 ちなみに、現代妖怪で昆虫系列と言えば、人間の靴そっくりに擬態して、人を迷わす「靴むし」という存在がウワサされている。うっかり、靴むしが擬態した靴を履いてしまうと、足をかまれてしまう。

 また「水神さま」と呼ばれている昆虫妖怪も存在している。この妖怪は、吸血妖怪であり子供を捕食し、生きているという。

 昆虫は、死者の念が乗り移りやすい。お盆の時期にトンボなどになって帰宅するという考え方が、それを表している。