ボクシングのWBC世界バンタム級1位・那須川天心(27=帝拳)が9日、都内のディスカウント店「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」で1日店員を務め、同級2位・井上拓真(29=大橋)との同級王座決定戦(11月24日、トヨタアリーナ)へ必勝を誓った。

 天心がカリスマ店員に転身だ。アルバイト経験がないという那須川だが、拓真戦へのトレーニングと称して、品出しで基礎体力、POP(ポップ広告)貼りでフットワーク、レジ打ちでスピードを鍛えるなど、さまざまな作業に従事。POP作成中には同店のスタッフに「結構キレられた」といいながらも、「めちゃくちゃいじってきたのがトレーニングでした。メンタル面ですかね。どんな角度から来ても大丈夫なように」と収穫も口にした。

 勤務後に行われた100人のファンを集めてのトークショーでは、拓真戦へ向けて意気込みを表明。「100パー(%)勝てるかといえば、何事にも100パーはないと思うんですけど、なるべく100パーに近づけるために一日一日、過ごしている。どんな結果になっても受け入れます」と話しながらも、「必ず勝つので、みなさん応援よろしくお願いします」と誓った。

 ドン・キホーテといえば「驚安の殿堂」がキャッチフレーズ。殿堂と言えば、那須川は先日、日本に滞在していた将来の殿堂入りが確実視される世界スーパーミドル級4団体統一王者テレンス・クロフォード(米国)と所属ジムで対面した。言葉は多くはかわさなかったが「日本へようこそ」などと声をかけ、クロフォードは那須川の練習を観察していたという。

 クロフォードは権威ある専門誌「リング」が定めるパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じたランキング=PFP)1位に君臨。PFP1位と聞いて思い出すのは、元世界6階級制覇王者フロイド・メイウェザー・ジュニアだ。那須川にとってメイウェザーは、キックボクサー時代の2018年12月31日に記録に残らないボクシングルールのエキシビションマッチで対戦して、1ラウンド目に3度のダウンを奪われる〝幻の1敗〟を喫した天敵だ。クロフォードとの対面で、その苦い記憶を思い出したかと思いきや「それは特になかった」とあっさり。「僕は別にパウンド・フォー・パウンド1位を目指すとか、そこに価値を置いていない」と自身の価値観を強調した。

 世界最高峰よりも、まずは目の前の戦いに集中するつもりだ。