ドジャースの大谷翔平投手(31)はポストシーズン(PS)でも異次元のパフォーマンスを見せている。3年連続、4度目のMVP受賞を米メディアが確実視する中、米全国紙USAトゥデーの名物記者ボブ・ナイチンゲール氏が「MVPは大谷翔平にちなんで名付けたほうがいいかもしれない」と一石を投じ、話題になっている。引退後などに現役時代の功績をたたえて賞を創設、あるいは従来の賞を改称した例はあるが現役では前代未聞だ。「大谷翔平賞」の真意を同記者に聞いた――。

 大谷はPSでも投打でチームを勝利に導いている。レッズとのワイルドカードシリーズ第1戦では初回に先頭打者弾を放ち、6回に特大2ラン。第2戦でも3―2の6回に適時打を放った。フィリーズとの地区シリーズ第1戦では先発し、6回を3安打3失点、9奪三振の好投でPS初勝利を挙げた。

 そんな異次元の活躍を見せている大谷に対してナイチンゲール記者は9月29日(同30日)のUSAトゥデー紙(電子版)で今季のナ・リーグMVPは大谷で確実とすると「彼が健康を維持し、人生初めて気持ちが落ち込まない限り、MVPはドジャースのDHで先発投手の大谷翔平にちなんで名付けたほうがいいかもしれない」と提案したのだ。

 ナイチンゲール記者に「大谷翔平賞」の真意を聞くと「シーズンが始まる前に彼(大谷翔平)が健康でさえいれば、彼がMVPを取る。だって彼は良い選手だし、その上投げるから、もうどうせ毎年勝つなら彼の名前を付けても良いんじゃないかって。毎年、健康でさえいれば、彼が取るに決まってるから」と説明した。

 今季も投打で異次元の成績だった。自己最多の55本塁打はトップのシュワバー(フィリーズ)と1本差だったが、OPS1.014、長打率6割2分2厘はリーグ1位。146得点、380塁打、89長打はメジャートップだ。投手では14試合に登板して1勝1敗、防御率2.87、奪三振率11.87はメジャー1位に相当する。

 もちろん数字だけではない。2022年に史上初の投打で規定に到達したが、MVPはア・リーグ記録を更新したジャッジ(ヤンキース)が受賞した。

「あれは歴史的で特別なシーズンだった。もう一つの事実として、あの年、大谷のチーム(エンゼルス)はプレーオフに行けなかった。だから、チームがポストシーズンに行けないと、最後の最後で票が減るんだ。チームがプレーオフに進むかどうかが大きい。でも今の大谷は、ドジャースにいる限り毎年プレーオフに出るから、MVPは取りやすくなる。それがほかの選手よりも有利な点なんだ」

 その上でア・リーグMVPを争っているジャッジとローリー(マリナーズ)がともにPSに進出していることに触れるとこう解説した。

「私の考えでは、MVPは『最も価値のある選手』であって、『最も優れた選手』じゃない。もし『ベストプレーヤー』に与える賞なら、毎年バリー・ボンズが取ってた。彼はいつも最高の選手だった。同じ理屈なら、大谷翔平が毎年取ることになる。だからジャッジの方が選手としては上かもしれないが、ローリーの方が(チームにとって)価値があると思う」

 3回MVPを受賞しているトラウト(エンゼルス)もチームがPSに出ていれば、回数は増えていたという。

「チームをポストシーズンに導けないと、どんなに良くても『どれだけ価値があるのか』と問われる。だから冗談半分で『もう大谷の名前で賞を作っちゃえばいい』って言ったんだ」

 最後は冗談と言ったものの、ナイチンゲール記者の説明は説得力十分だ。