トランプ米大統領が、9月23日、SNSに投稿し、<「時間と忍耐のほか、欧州や、特にNATO(北大西洋条約機構)からの財政的な支援があれば、この戦争が始まった際の元の国境まで(領土を)奪い返すことは、十分ありうるオプションだ」>(9月25日「朝日新聞」デジタル版)と述べた。
欧米や日本のマスメディアや評論家は、トランプ氏がこれまで一貫して示してきたロシア寄りの見方が激変したのではないかと期待を込めている。
筆者は、そのような期待をしても裏切られるだけだと見ている。本件に関してロシアのラヴロフ外相は、9月27日、国連総会での一般討論演説後に記者会見し、こう述べた。
<ラブロフ氏は「ウクライナは全領土を奪い返せる」とした最近のトランプ米大統領のSNS投稿にも言及。「それぞれの国、それぞれの指導者には国内問題と同様、国際問題においてもそれぞれのスタイルがある」などと述べ、投稿は外交上のレトリックに過ぎないとの見方を示した。/また、「トランプ政権が最初から我々との対話再開を提案したことを評価している」「米国は(ロシアの主張通り)根本原因を除去することによってこの紛争を終わらせたいと望んでいる」などとも話し、トランプ政権がロシアの理解者であるとする考えを強調した>(9月28日「朝日新聞」デジタル版)
このインタビューでラヴロフ氏は、ロシアとトランプ政権の関係は極めて良好で、アメリカはロシアとの関係を真摯に改善しようとしているという認識を示すと共にロビオ米国務長官の名を挙げて、ビザの緩和や人的交流、経済関係の改善に向けて米ロ間で協議が続けられていると述べていた。
ロシアのテレビに出てくる政治評論家はいずれもトランプ氏の投稿については、内政的な考慮に基づくもので、アメリカの対ロ関係改善政策に変更はないと述べている。トランプ氏は、和平交渉が進まない原因はウクライナとヨーロッパの頑なな姿勢によるもので、「それならば、あんたらヨーロッパ諸国がウクライナを全面支援して全領土の回復を試みてみたら? 俺は見ているから」と、突き放しているという解釈がロシアでは一般的だ。
筆者も同じ見方をしている。トランプ氏の目的はロシアとの連携を強化することを通じてアメリカの国益を増進することだ。ウクライナの全領土奪還のためにアメリカがリスクを取る必要などさらさらないというのがトランプ氏の本音だ。












