歴史的死闘を経て〝三本の矢〟が完成へ――。バレーボール女子の世界選手権(7日、タイ・バンコク)、3位決定戦が行われ、世界ランキング5位の日本は同2位のブラジルに2―3で敗戦。15年ぶりの銅メダルには惜しくも届かなかった。ただ、次世代エース・佐藤淑乃(23=NEC川崎)がチーム最多の34得点と爆発。石川真佑(ノバラ)、和田由紀子(NEC川崎)に匹敵する能力を大舞台で披露した。2028年ロサンゼルス五輪へ、超新星はある覚悟を抱いている。

 準決勝(6日)のトルコ戦は思うようなプレーができず、試合後に大粒の涙を流した。この号泣が大器を覚醒させた。

 この日は0―2と劣勢を強いられたが、第3セット前に「最後の集大成という気持ちで100%全て出そう」。3本のサービスエースを含むチーム最多の34得点を挙げて、ブラジルを猛追した。フルセットの末に黒星を喫するも「今までの試合も周りの選手に頼っている場面が多かった。みんなを助けられる1点を取り続けたいという気持ちで打ち続けた」と懸命に右腕を振った。

 筑波大3年時に代表初選出。パリ五輪の代表入りは逃した一方で、所属先では代表の前主将・古賀紗理那さんが背負っていた「2」を継承。SVリーグで最優秀新人賞&ベスト6を受賞すると、代表でもフェルハト・アクバシュ新監督のもとでレギュラーとして試合に出場してきた。

 4位に入った前哨戦のネーションズリーグは和田(223得点)、石川(216得点)に次ぐチーム3位の214得点を記録。そして迎えた世界選手権では和田、石川の陰に隠れる場面が多かったが、最終決戦で才能を開花させた。「世界を相手にいろんな経験ができたことがすごく楽しかった。すごく充実していて、いろんな経験ができた1年だった」と手応えを口にした。

 ロサンゼルス五輪を見据える上で、計算できる大砲が3枚そろったのは大きなプラスだ。それでも、表彰台へ食い込むには瀬戸際で1点を取り切る力の向上が求められる。「最後に勝ち切ることができないところが、今のチームの弱い部分だと思う。そこに向き合ってさらにみんなで成長して(大舞台に)戻ってきたい」と決意を口にした。

 2021年東京五輪、24年パリ五輪はともに1次リーグ敗退。12年ロンドン五輪以来のメダルを狙うには佐藤のさらなる成長が必要だ。

 佐藤は以前「オフェンスが得意なので、どんどん点数を取れる選手にならないといけない。今は石川選手や和田選手がオフェンスでチームに貢献してくれているけど、自分ももっと点数に絡んでいきたい」と点取り屋としてダブルエースに並ぶ覚悟を明かしていた。攻撃の新たな軸として、チームを勝利に導く存在となれるか。