なぜ、まさかの逆転負けを喫したのか。米総合格闘技イベント「UFC319」(16日=日本時間17日、イリノイ州シカゴ)で、元RIZINバンタム級王者の朝倉海(31)が、ティム・エリオット(38=米国)に2ラウンド(R)4分39秒で一本負けした。終始有利に進めながらの逆転負けを、〝バカサバイバー〟こと青木真也(42)が忖度なしに徹底分析する。ズバリ敗因は――。

 序盤からスタンドの攻防で有利に進めた海は、パンチを的確にヒットさせる。1R終盤に左ハイキックをつかまれて倒され、サイドポジションを奪われるもそのまま終了。2Rもパンチをヒットさせていたが、残り2分を切ってタックルでテークダウンを許す。これで背中をマットに付けた海は、両脚で相手の腰を挟みディフェンスに回る。その後、脚を外して立ち上がろうと試みたが首をとられ、ギロチンチョークにタップした。

 この一戦に青木は開口一番「誰も負けると思ってなかっただろ!」。2年ぶりの実戦となるベテラン相手のマッチメークに「朝倉海が勝つための〝お膳立て〟じゃん。それでここまでずっこけられちゃうと、しんどいな」と声をしゃがれさせた。

 1Rを振り返り「ヒット数もコントロールも圧倒していた」とする。だが「最後に下で〝バンザイ〟してたじゃん。あれで『ああ、この人は何もグラウンドを知らないんだな』って、相手にも〝これから戦うであろう相手〟にもバレたよね」と課題の露呈を断じた。

 そして「2Rもテイクダウンされるまでは取ってたんだよ。だからあのまま相手に抱きついてれば、ラウンドを取れていた」。UFCの判定はラウンドごとにジャッジが点数をつける「ラウンドマスト」。優勢と判断された選手に10点、対する選手に9点や8点が付けられる。「ラウンドを取る」とは、10点を取ることを指している。

 これを踏まえて「だから立とうとしなければ勝った。1Rは取っていたからね。それに最悪2Rを取られても、3Rを取ればいい。だからこそ、なんであそこで(両脚で相手の腰を挟む)クロスガードを離して逃げようとしたのか分からない。そもそもあそこでクロスガードしちゃうのも、どうかと思うけど」とピシャリ。敗因を「セコンドのミスだ。作戦ミスよりも前段階の指示ミス。あの時『ステイだ。待ってろ』って言えば勝ってました、はい」と断言した。

 さらに「やっぱりRIZINルールだな…」とつぶやく。グラウンドでのこう着が長引くとブレークとなるRIZINと、それがないUFCで違いがあるとして「テークダウンされそうになったら、抱きついて時間経過を待つ癖がついてる」とメガネを光らせる。

 日頃の老害ムーブでつい忘れがちだが、世界トップのMMAグラップラーでもある青木は「現代MMAはシームレスに立ち技とグラウンドがつながってるんだ。だけど朝倉海は立ち技とグラウンドが別物。RIZINルールに慣れたからだろう」と分析。その上で「この課題は1年2年ではひっくり返らない。だからどうやってグラウンドに『ふた』をして、今ある才能で戦うかを考えるしかない」と助言した。

 熱弁した青木は「これは真面目に〝青木再生工場〟案件だろう。でも今、格闘技界で一番大事なのは、朝倉経済圏とどう距離を取るかだからなあ…」と口走り、上野方面に自転車で走り去った。