第107回全国高校野球選手権広島大会の決勝が26日、広島・三次市の電光石火きんさいスタジアム三次で行われ、広陵が延長10回タイブレークの末に2―1で崇徳を下し、3年連続26度目の夏の甲子園出場を決めた。

 堀田昂佑(3年)が5安打1失点完投、自らのバットで9回に同点打を放つなど投打でフル回転。背番号10の右腕が、意地と執念で母校を再び聖地へ導いた。

 大会を通じて抜群の安定感を誇ってきた堀田は、この日も最初からテンポ良く崇徳打線を翻弄。変化球でカウントを整え、丁寧にゴロを打たせる投球で中盤までスコアボードに「0」を並べた。試合が動いたのは7回。無死一、三塁からの中犠飛で先制点を奪われたが、それでも崩れることなく、最少失点でしのいだ。

 広陵はこの日までの6試合すべてで先制してきたが、初めて追う展開に。それでも諦めなかった。1点を追う9回二死二塁、打席に入ったのは堀田。「たまには打ってくれよ」と願った中井哲之監督の思いに応えるように、打球は左翼フェンスを直撃する同点の適時二塁打。グラウンドもベンチも一気に沸き上がった。

 勢いそのまま延長10回に無死満塁とし、併殺打の間に勝ち越し点をもぎ取ると、堀田はその裏も続投。走者を背負いながらも冷静な投球でピンチを脱し、マウンドで力強くガッツポーズを見せた。球数は99球で「省エネ完投」で勝負を決めた。

 試合後、中井監督は目を細めた。「最後まで自分たちの野球をやり抜いてくれた。堀田はよく打って、よく投げた」と称賛を惜しまなかった。堀田は背番号10をつける〝控え投手扱い〟からのスタートだったが、終盤の3試合を任されるまでに成長。指揮官は「背番号を決める時、相原の方が信用されてた。堀田は〝クソったれ〟って思ってて、去年から投げている10番の意地が出たのでは。人前で泣くような子ではないけど、今日は号泣してましたよ」と明かす。

 堀田の投球内容についても「ようやく一番いい時の状態に戻ってきた」と最敬礼。「チェンジアップ、緩いカーブ、スライダー…すべての球種のキレが上がっていた。今日の投球は総合力で勝った」と手放しでたたえた。

 指揮官は「ウチにはスーパースターはいないけど、練習で積み重ねてきたことを信じた」と胸を張る。昨年のエース・高尾や主将・只石といったどっしりとした主力はいないが、「今年のチームは違うタイプ。まとまりと粘りで勝ってきた」と語る。試合終盤の逆転劇は、派手さではない地力の強さの証しだった。

 県大会3連覇を果たした広陵だが、チームの中には甲子園未経験の選手も多い。「20人のベンチ入りメンバーはまだ確定じゃない。選手と話しながら決めていく」と語りつつ「休みもなく支えてくれたスタッフとその家族にも感謝したい。広陵の強さは、チーム全体で勝ってきたというところにある」と語った。

 悔しさを糧に成長してきた堀田、そして控えやサポートメンバーまで含めた全員野球の結実が、3年連続の甲子園出場という結果を生んだ。聖地では〝クソったれ〟返上の快投に、再び注目が集まりそうだ。