3日公示の参院選(20日投開票)は過去最大級の警備態勢が敷かれることになりそうだ。

 安倍晋三元首相が応援演説中に銃撃されたのは3年前の参院選最中だった。以後、警察や各党の警備体制が見直され、与党幹部が街頭演説する際には駅前でも聴衆エリアは柵で囲まれ、入場時には手荷物検査や金属探知機による身体検査が行われるようになった。それでも2年前の衆院和歌山補選に当時首相だった岸田文雄氏が応援演説に駆け付けた際にはパイプ爆弾が投げ込まれる事件が発生していた。

 今年3月にはNHK党の立花孝志党首が男にナタで襲撃され、側頭部裂傷の重傷を負った。日本保守党の百田尚樹代表は事件直後に「聴衆と触れ合うのは日本の選挙制度のいいところで、美徳でもあるが、複数のテロ事件でこういう空気が少なくなっていく感じは少しした」と参院選へ懸念を抱いていたが、その後も物騒な事件が相次いでいる。

 AIエンジニアの安野貴博氏は「チームみらい」を結党し、参院選に初挑戦する中、先月23日に妻の黒岩里奈氏が何者かに夜道で襲われる事件が起きた。黒岩氏はXに「見知らぬ男性に『安野の妻か』と確認され、『この差別主義者! ナチス! 人殺し!』と叫ばれ突き飛ばされました…」と恐怖体験を告白。また東京選挙区に出馬予定の平野雨龍氏は先月、新宿での演説中に外国籍とみられる男に襲われる事件もあった。

「日本誠真会」を結党し、比例代表に挑む歯科医師の吉野敏明代表が2日に行った新橋駅前での演説では、黒ずくめの複数のボディーガードが周囲を固めた。吉野氏は「安野さんの奥さんがやられ、平野雨龍さんも襲われ、立花さんはナタで後頭部を割られた」と自身もいつ危険な目に遭うか分からないとあって、緊張感が漂っているという。

「ネット上を中心に政治家への殺害予告や誹謗中傷が横行し、演説会場での妨害も多発し、ここに来て、外国人問題が一部で争点化し、分断状態にも陥っている。警察庁は警護対象者となる政治家には事前にどの場所で演説や応援に行くかの徹底を通達しており、かなりナーバスになっています」(永田町関係者)

 与野党幹部にはまだ警察当局が目を光らせるが、大半の候補者は自衛を強いられ、限界がある。何事も起こらないことを祈るばかりだが…。