〝ドーピング容認〟の新たなスポーツ国際大会「エンハンスト・ゲームズ」が、来年5月21~24日に米ネバダ州ラスベガスで初開催されることが決まり、スポーツ界に激震が走っている。賛否が沸き起こる中で、サッカースペイン1部の名門レアル・マドリードでチーフメディカルアドバイザーを務め、世界的強豪チームの医師らを集めて競技者と一般の健康増進にも活動の幅を広げる「Sports Doctors Network」のニコ・ミヒッチCEOが警鐘を鳴らした。
スポーツ界で衝撃が広がっている。5月21日(日本時間22日)、大会の主催団体で会長を務めるオーストラリア出身の実業家アーロン・デスーザ氏が会見を開いて概要を発表した。最大の特徴は、医師の監修のもと米国食品医薬品局(FDA)で承認されたステロイド系の筋力増強剤などの使用を認めていること。世界反ドーピング機関(WADA)が使用を禁止している薬物の一部がOKというわけだ。
第1回大会では、競泳の自由形とバタフライの50、100メートル、陸上の100メートル、110メートル障害、重量挙げが実施される予定。ドナルド・トランプ米大統領の長男ジュニア氏が大会を支援し、参加者全員に報酬が与えられ、陸上100メートルと競泳50メートル自由形で世界記録を更新した選手には、100万ドル(約1億4400万円)という高額賞金を出すとしている。
前代未聞の〝ドーピング五輪〟ということで、開催が発表されると大きな波紋を呼んでいる。WADAは当然猛反発し、運営側が薬物の関連製品の販売に重点を置いていると追及。バンカ委員長は開催阻止を米当局に要請する考えを示した。
実施競技の当該団体も一斉に反応。世界陸連は参加した選手を資格停止とする方針を明らかにし、世界水連も大会に参加や支持した選手、関係者を資格停止にする厳罰方針を発表した。
騒動が注目される中で、スポーツ医学界の権威であるミヒッチ氏が見解を示した。まず「ドーピングに関して、とても反対の立場を取っている。スポーツ界にも選手の健康にも良くない」と倫理面や、選手の身体的影響への観点から否定的な立場を明確にする。
「薬物が禁止されているのは、選手にとって有害であるという理由があるから」とWADAが禁止する薬物の使用は危険であることを強調。「選手が禁止されている薬物を使うことは短期的、長期的に見ても選手の健康に悪影響を及ぼし、将来的に必ず健康に害が起きる」と安全を度外視して、ひたすら記録を追い求めるという大会の運営趣旨に異を唱えた。
さらに、今後ドーピングを容認する大会の開催が広がる可能性にも言及。「その時はよくても、競技人生だけでなく長期的視点で見ると、寿命も短くなる」と強く危惧している。
一部では「未来の五輪」として賛成派もおり、議論を呼んでいるエンハンスト・ゲームズ。スポーツにとって新時代の象徴となるのか、それとも破滅への道か。












