逆襲劇が幕を開ける――。17日にカタール・ドーハで開幕する卓球の世界選手権個人戦を前に、五輪2大会連続代表の張本智和(21=トヨタ自動車)が本紙の単独インタビューに応じた。2024年パリ五輪は3種目に出場するも、まさかのメダルなしに終わった。28年ロサンゼルス五輪でのリベンジを見据える上で、今大会のパフォーマンスが1つのポイントになると分析。米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(30)から刺激を受け、自身も世界の頂を目指す構えだ。

 メダルへ最後の望みを懸けたパリ五輪男子団体3位決定戦は、2―3でフランスに敗戦。大黒柱としてチームを表彰台に導けなかった悔しさは、今も脳裏に深く刻まれている。

 張本 パリは自分の中のターニングポイントというか、絶対的に自信を持って臨んだのにメダルに届かなかったし、3種目でチャンスがあったのに1個もメダルを取れなかったことに危機感も覚えました。残りの約3年をゆっくり使うわけではなく、急いで1年、1年、1か月、1か月やりたいことをやって、パリ前から継続していくことは継続して、間違ったものは変えていきたいです。間違ったものを早く見つけるためにも、まずは取り組まなければ結果が出ないと思うので、いろんなことに挑戦したいなと思います。

 現在は「チャレンジ」を意識し、試行錯誤を繰り返す日々。「一番怖いのは成功でも失敗でもなく、何もしないこと」との考えを胸に、己の課題と向き合っている。

 張本 普段いくら練習でチャレンジしても、試合になると負けるのが怖いのがスポーツ選手のよくある心理状況だと思っています。負けるのが怖くて何も変えずに、前の自分と同じプレーをして「ギリギリ勝ったからいいや」と思ってしまうところがまだ今の自分にはあるけど、分かっていても変えられない部分も正直あります。できれば勝っても負けても挑戦し続ける姿勢は100%で、試合になると勝ちを優先してしまって「これぐらいでいいや」と思ってしまう自分を変えたいなと思います。

 3月には米大リーグ開幕戦・ドジャース―カブス(東京ドーム)を現地で観戦。大谷の本塁打は運悪く見逃すも、二刀流で活躍する唯一無二の選手から多くの学びを得ているという。

 張本 やっぱりあれだけすごくても、1人の人間ができることは限られているが、大谷選手が特別に1人だけ違うことをやっているわけではないと思います。宇宙人でもないし、二刀流という誰もできないことをやっているけど、考え方が至ってシンプルだなと思うし、勉強するべきなのかすごすぎてわからないけど、本当に勉強していきたいなと思います。野球と卓球は違うけど、少しでも近づけるように頑張りたいです。

 ステージが異なっても、アスリートとして目標に突き進む姿勢は同じ。卓球王国・中国の壁を打ち破るべく、日本のエースは道なき道を切り開いていく。

☆はりもと・ともかず 2003年6月27日生まれ。宮城県出身。小学1年から全日本選手権を世代別で6連覇。16年世界ジュニア選手権で優勝すると、17年世界選手権個人戦は史上最年少の13歳で8強入りを果たす。18年全日本選手権では史上最年少の14歳で頂点に立った。21年東京五輪では団体で銅メダルに貢献。24年パリ五輪はメダル獲得を逃すも、24年10月のアジア選手権では日本勢50年ぶりの金メダルを手にした。妹はパリ五輪団体銀メダルの美和(木下グループ)。175センチ。