米中関税戦争は一件落着!? ジュネーブで貿易協議を行った米中両国は12日、互いにかけた相互関税を115%引き下げることで合意した。ホワイトハウスが発表した共同声明によると、米国と中国政府は二国間の経済貿易関係の重要性を認識し、5月14日から90日間、相互関税を削減するという。米国は145%から30%に削減し、中国は125%から10%に削減することになる。
トランプ大統領は4月に世界中のほとんどの国に対する関税を発表し、中国に最も大きな打撃を与える関税戦争を仕掛けた。米国側は、中国からの製品に対して米国の輸入業者が支払う関税を145%に引き上げた。中国側は、米国の兵器や電子機器にとって不可欠なレアアースの輸出を制限し、米国製品への関税を125%に引き上げることで反撃した。関税戦争により、6000億ドル近くの双方向貿易が停止したとされる。その関税戦争はひとまず緩和し、世界経済に好影響を与えそうだ。
関税引き下げの決定は、米国のベセント財務長官と中国の何立峰(か・りつほう)副首相との協議の結果で、ベセント氏は協議を「生産的」かつ「力強い」ものだったと述べた。
この合意について、米中メディアは「関税戦争によって商業活動がほぼ停止し、経済が不況に向かって急速に進んでいた中、両国の経済と世界経済にとって非常に良いニュースであり、世界中の企業や投資家が期待していた救済策だ」との趣旨で報じている。
それにしても、なぜ、あのトランプ氏が振り上げた拳を〝90日間〟とはいえ、下ろしたのか。
米国事情通は「経済的打撃が大きかったことに尽きるようです。金融市場は大きく混乱し、株価が急落した。経済の先行き不透明感が強まり、消費者の間で、消費や行楽などを控える動きが出てきています。中国から米国には、おもちゃや衣類、パソコンなどが大量に輸入されており、145%の高関税が続けば米国の経済が成り立たなくなってしまうことをトランプ氏も実感したのでしょう。当然、中国側も同様だったのでしょう」と語る。
なにより、トランプ氏にとって、自身の名前を世界史に大きく刻むことになるかもしれない難問が控えている。
トランプ氏は13~16日の日程でサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)の中東3か国を訪問し、首脳らと会談する。
「トランプ氏にとって、ノーベル平和賞をもらうために、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争を仲裁する最大の機会です。サウジアラビアはウクライナ紛争の仲介者として重要な役割を果たしており、カタールはガザ戦争の仲介役を務めています」(前同)
また、プーチン大統領が11日、トルコ・イスタンブールでの直接会談を一方的に提案した。これにウクライナのゼレンスキー大統領は12日、「私は15日にトルコでプーチンを待っている」と呼応した。プーチン氏の提案は、明らかにブラフで、ゼレンスキー氏がこれを受けないと想定してのものとみられていた。ロシア側の和平条件がウクライナ側に不利過ぎるからだ。
しかし、トランプ氏がSNSで「ウクライナは直ちに会談に同意すべきだ。少なくとも合意が可能かどうかを判断できるし、もし不可能であれば、欧州の首脳陣と米国は現状を把握し、それに応じて対処できるだろう」と書き込み、その直後、ゼレンスキー氏がSNSで「プーチンを待つ」と発表した。プーチン氏が追い込まれた形だ。
前出事情通は「トランプ氏はちょうど中東にいます。イスタンブールの会談に同席を検討している可能性がある」と話している。トランプ氏にとって、関税戦争どころではなかったのだろう。












