3月15日、自民・公明両党が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁することで正式合意した。これまで日本は、殺傷能力のある武器の輸出を認めてこなかった。憲法9条の下で、日本は専守防衛に徹することになっており、殺傷能力のある武器を輸出すれば、第三国の戦争に加担することになってしまうからだ。
その原則を覆すということは、日本の防衛政策の大きな転換になるのだが、なぜ政府は決断をしたのか。もちろん一次的には、数兆円とも言われる戦闘機の開発費を賄うためには、第三国への輸出による規模拡大が不可欠だということがあるのだが、私はもう一つ背景があると考えている。それは、日本の航空産業の灯を守るということだ。
昨年2月、三菱重工は、開発を進めてきたMRJ(後にスペースジェットと改名)の開発プロジェクトからの撤退を発表した。総事業費1兆円超で、自動車と並ぶ主力産業への成長を期待された航空機開発が露と消えたのだ。
MRJの開発が発表されたのは、2008年だった。2014年には試験飛行用の機体が公開され、2015年に初飛行を果たした。2019年度までに、累計の飛行時間は3000時間を超えた。燃費が良く、安全性の高いMRJは、世界の航空会社の注目を集めた。しかし、MRJの納期は6回も延期され、最終的に開発が中止されてしまったのだ。
2013年に三菱航空機の三代目社長に就任した川井昭陽氏は、テレビ愛知の取材に、飛行機を安全に飛ばす技術力が足りなかったと答えている。しかし、三菱重工は、戦後も航空機を作り続けており、航空機開発の技術は十分蓄積されていた。
それが、なぜ大空を飛ぶことができなかったのか。その原因はアメリカが型式証明を与えなかったからだ。MRJは北米市場をメインターゲットにしていたが、どうしても米国からの型式証明取得が必要だったのだが、米国は許可しなかった。
しかし、これはおかしな話だ。ビジネスジェットで今や世界的な評価を得ているホンダジェットには、型式証明が与えられている。ホンダジェットは、アメリカ本土で製造されているからだ。
戦闘機に型式証明は不要だから、今回の共同開発は進むだろう。しかし、アメリカが自衛隊の主力戦闘機としての採用を認めるかは不透明だ。MRJの悪夢を繰り返さないためにも、早い段階からの日米交渉が重要になるだろう。特にトランプ政権が誕生した場合には、米国製戦闘機を押し付けてくるから、要注意だ。












