国立競技場のピッチが2020年の開場以来最大のピンチに陥っている。暖冬などの影響で冬芝の根付きが悪いことや連戦が重なって、芝の状態は悪化の一途。サッカー元日本代表MF前園真聖氏(50=本紙評論家)は、国立開催の集中を避けて〝ピッチファースト〟を提言した。

 今年は国立でJリーグの試合が多く開催されたことに加え、暖冬で冬芝が生育しにくい状況に。そのタイミングで冬場にサッカーやラグビーの試合が過密日程で開催されており、ボコボコに荒れた〝劣悪ピッチ〟として物議を醸している。

 9日に行われた川崎と柏による天皇杯決勝では選手からも悲鳴が。川崎のDF山根視来は「難しかった。とにかく土が多かったので、ロングボールすらまともに蹴れないグラウンド状況だった」と指摘し、プレーに支障が出るほどだった。

国立競技場のデコボコのピッチはプレーに支障がでるほど
国立競技場のデコボコのピッチはプレーに支障がでるほど

 視察した日本代表の森保一監督も、来年1月1日にタイ戦を控えており「たしかにグラウンドはいい状態ではないと思った」と不安を口にした。その後も国立の酷使は続き、18日のシャフタル・ドネツク(ウクライナ)―福岡戦でもピッチ状態の悪さが目立った。

 前園氏は「いろいろなところのスケジューリングが影響しているのでしょう。今年はJリーグの試合なども多かったですし、メンテナンスは大変だったと思います」と指摘。Jリーグが関わる国立開催の試合は、昨年の4試合から今年は14試合に激増。集客を考えると最高の立地だけに、酷使が続いてしまった。

 今後もこうした傾向は続きそうだが、前園氏は国立の〝一極集中〟を疑問視。「集中してしまいましたが、もっと他のスタジアムと分散しながら使って、無理をしないほうがいいと思います。首都圏には他にも良いスタジアムがありますし、いろいろなところが使えるはずです」と提言する。

 使用過多により悪化したピッチでのプレーを強いられれば、選手は増大するケガのリスクに直面してしまう。莫大な維持費もあってフル回転せざるを得ないとはいえ、慎重な管理が求められそうだ。