国立競技場のピッチが酷使によって2020年の開場以来最大の危機を迎え、来年1月1日に行われる森保ジャパンの国際親善試合タイ戦に向けて、不安が高まっている。

 9日に国立で行われたサッカー天皇杯決勝は0―0の延長PK戦8―7で川崎が柏を撃破して優勝を果たした。熱戦の一方で、水を差したのが劣悪なピッチ状態。ボコボコに荒れている場所が多く、芝生の状態はまるで近所の〝草サッカー場〟。SNS上ではファンやサポーターから批判が殺到し、大きな波紋を呼んだ。当事者の選手たちも問題視。川崎のDF山根視来は「難しかった。とにかく土が多かったので、ロングボールすらまともに蹴れない、すごく蹴りづらいグラウンド状況だった。解決方法を探すのに苦労した」と吐露するほどだった。

 今季はJリーグなどサッカーの試合が多く開催され、芝が生育しづらい冬場を迎えてから酷使が加速。直近では11月23日に大学ラグビーの早慶戦、同29日にアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の甲府―メルボルンシティー戦、12月2日にJ1昇格プレーオフ(PO)決勝の東京V―清水戦、同3日に大学ラグビーの早明戦と11日間で4試合という酷使ぶり。しかも異なる競技が交互に行われることで悪化に拍車をかけ、聖地のピッチは〝荒野〟と化しつつある。

 そこで不安視されるのが、史上初の元日代表戦として注目を集める森保ジャパンのタイ戦だ。選手からも不満が続出した現在のピッチ状態では、負傷者が出てもおかしくない。アジアカップを目前に控える代表選手にとって大きな懸念材料となる。

 天皇杯決勝を視察した日本代表・森保一監督は「芝生も生き物なので、管理の方々も愛情を込めて手入れ、管理をしてくださってると思うが、なかなか常にいい状態を保つことはいろんな条件の中で難しい。確かにグラウンドはいい状態ではないと思った」と不安顔。「先日のJ1昇格POや、ACLの甲府戦を見た中では改善をしている。また元日に向けて時間があるので、いい状態を作ってくれると思う」とピッチの回復を願うように語った。

 ただ、国立のピッチに休む暇はなく、17日に「FCコラソン創設30+1周年大感謝祭」でメモリアルマッチを3試合、18日にウクライナ復興支援チャリティーマッチのシャフタル・ドネツク―福岡戦、28日に全国高校サッカー選手権開幕戦の早稲田実(東京A)―広島国際学院(広島)戦と〝過密日程〟が続く。元日までにさらなるピッチの悪化は避けられない見通しだ。

 森保ジャパンの記念すべき元日決戦に、ふさわしい舞台は整えられるのか。聖地の〝底力〟に期待するしかない…。