賛否両論の中での再登板だ。日本ラグビー協会は13日、日本代表の次期ヘッドコーチ(HC)に、エディー・ジョーンズ氏(63)が就任すると発表した。正式就任は来年1月1日で2015年以来、9年ぶりの復帰。27年W杯オーストラリア大会までの契約となる。この決定を受けて、名門明大ラグビー部出身で世界最大のプロレス団体WWEでも活躍したKENSOこと鈴木健三氏(49)は歓迎する一方で、ラグビー界では懐疑的な声も上がっている。

 2019年W杯日本大会で史上初の8強入りに導いたジェイミー・ジョセフ氏は、今年のフランス大会限りで退任。注目が集まっていた後任は、この日に行われた日本協会の理事会で、昨季のリーグワン1部で優勝した東京ベイのフラン・ルディケHCら候補の中から、ジョーンズ氏に決まった。

 前回は12年から指揮を執ると、15年イングランド大会では南アフリカ戦で日本を歴史的勝利に導いた。ラグビー弱小国を心身ともに厳しく鍛え上げ、世界で戦えるレベルに引き上げた。その後、イングランド代表HCとなり、日本大会では準優勝。母国オーストラリアを指揮したフランス大会は、同国初の1次リーグ敗退となり、辞任に追い込まれた。

 ジョーンズ氏はトップリーグ時代のサントリー(現・東京SG)を指揮し、現在も東京SGのスタッフを務めるなど〝日本通〟の指導者。健三氏は「サプライズ感はないんですけど、日本に対する理解も深いですし、着実に代表を前進させてくれる人を選んだような気がします」と歓迎する。その上で「エディーさんは、高校生日本代表から見ていくタイプの指導者。そういう意味では将来を見据えた指導も期待できると思います」と若手の抜てきに期待した。

 日本大会で8強入りした日本は世代交代の過渡期にある。新戦力の発掘や育成が求められている中で、ジョーンズ氏はうってつけの指導者だ。実際、オーストラリアを指揮したフランス大会でも若手中心のメンバーを選出。再び1次リーグ突破を目指す27年へ向けて、今後のかじ取りが注目される。

 ただ、ジョーンズ氏の再登板を巡っては、賛成意見ばかりではない。日本代表事情に詳しいラグビー関係者は「以前と同じ方法で指導するのであれば、選手とのあつれきが生まれるかもしれない」と懸念する。前回指導時は、強烈なトップダウンで過酷なトレーニングを課すなど、選手側の反発を招いたこともある。時を経て選手へのアプローチを変えている可能性もあるとはいえ、やり方を一歩間違えればチーム崩壊の危険性をはらんでいる。ジョセフ前HCは自主性重視の方針だっただけに、なおさらだ。

 また、〝デキレース感〟への拒否反応もある。日本協会の土田雅人会長とジョーンズ氏はサントリー時代から旧知の仲とあって、一部の関係者は「最初から決まっていたのでは?と思ってしまうような結果」と懐疑的な目を向けた。一方で、同会長の人柄を知る健三氏は「土田さんは、エディーさんに頼まれてやらせるような人ではないですからね」と強調した。

 新体制の船出前に、様々な見方があるのは仕方がないところ。新生エディージャパンは、結果で反対派をねじ伏せることができるか。