負の連鎖を断ち切ることができなかった。違法薬物事件で3人の逮捕者を出した日大アメリカンフットボール部の廃部が決定した。1940年に創部し、リーグ優勝35回、学生日本一21回を誇る強豪がどうしてここまで腐敗してしまったのか。同部をよく知る大学アメフト関係者は、2018年に発生した日大悪質タックル問題からの改革が裏目に出たと指摘した。一体どういうことなのか。

 日大は28日に「競技スポーツ運営委員会」を開き、アメフト部の廃止を決めた。日大広報部は29日にこの方針を認め「今後、学内の手続きを経て正式に決定した際には、速やかに決定内容と本学としてのコメント等を公表いたします」と回答した。

 歴史と伝統を誇る学生アメフト界の雄が消滅する。大学アメフト関係者は「ビックリした。日大でプレーしている選手の顔が浮かんだ。あいつら、どうするんだろうなって」と悲しみの表情を浮かべた。

 廃部の理由はもちろん違法薬物問題だ。寮に大麻部屋が存在し、電源コードで施錠しながら大麻を吸うという悪質さ。日大フェニックスに憧れ入部してきた学生が、一体なぜここまで落ちてしまったのか。

 前出の関係者は、日大選手による悪質タックルで関西学院大の選手が負傷し、世間を騒がせた〝悪質タックル問題〟が影響したと指摘する。「内田(正人)監督のままだったら、こんなことは起こっていなかったと思う。監督が代わって、そこに厳しさや規律みたいなものが、完全に排除された。(チームが)学生主体になり、間違った方向に行ったのでは」。問題を受け辞任した内田氏時代の厳しさが失われた結果、チームが緩みきってしまったというわけだ。

 当然ながら行き過ぎた指導は許されるものではない。しかし、首脳陣の厳しさで部の規律が保たれていた側面はあったようだ。

 同関係者は「大人が本気で取り組むチームは絶対に強くなるし、その代名詞が日大でもあった。プロコーチがいっぱいいて、学生、OBコーチも真剣にフットボールに向き合っていた。だから日大は常勝チームでずっと勝ち続けていたが、悪質タックル問題でそれが途切れた」と分析。内田氏が去った後、より熱意があり、愛のある厳しさで部員に接する指導者がチームを指揮していたら、結果は変わっていたのかもしれない。

 チーム再建に失敗したことで、路頭に迷うのは真面目に競技だけに取り組んできた部員たちだ。8月の会見の時点で、部員数は123人。名門フェニックスに憧れを抱き、1年生は30人以上入部。ひときわ目を引く逸材もいた。しかし、廃部となり、彼らの活躍の機会はなくなった。今回の問題を受け、関東学生連盟は秋のリーグ戦出場を認めなかったが、今年の日大の実力は高く評価されていた。春のオープン戦は3勝1敗で終えており、6月には、秋のリーグ戦で優勝した法政大を46―14で破っている。「春の実績を見ると、日大が甲子園ボウル(大学日本一決定戦)に行っていたと思う。今年は、それぐらいの力を持っていたからこそ、残念でならない」(同関係者)

 悪質タックル問題から続く負の連鎖を断ち切ることができなかった日大アメフト部。彼らを正しい道に導けなかった大学側はどう動くのか。真摯な対応が求められている。