政府は経済対策の裏付けとなる補正予算案を11月10日に閣議決定した。予算規模は13兆円だが、このなかには所得税・住民税減税は含まれていない。国民生活に関わる部分で含まれているのは、来年4月まで延長するガソリンや電気・ガス代を抑制するための7948億円と住民税非課税世帯に7万円を給付するための1兆592億円だけだ。
それでは、予算の多くは、どこに振り向けられるのか。まずは半導体だ。熊本県に工場を建設する台湾のTSMCや次世代半導体の国産化を目指して北海道に進出するラピダスの支援など、国内投資促進に3兆4375億円を投ずる。
また、11月12日の会見で河野太郎行革担当大臣が無駄遣いの温床として「全て点検・見直しの対象」とした基金を四つ新設し、一般会計と特別会計から4兆3000億円もの巨費を投じる。新設基金は、宇宙分野の技術開発を支援する宇宙戦略基金に3000億円、小中学生の端末更新費用としてGIGAスクール加速化基金に2643億円の資金を注ぎこむ。
私は、もういい加減に新産業に巨大な税金をつぎ込むのは、やめるべきだと考えている。これまで政府が失敗を繰り返してきたからだ。例えば2012年に発足したジャパンディスプレイは、政府系の産業革新機構が主導して誕生したが、発足以来一度も黒字になったことがなく、日本最大のゾンビ企業と呼ばれている。もう一つ、2009年に公的資金で救済したエルピーダメモリも、2012年に経営破たんし、米国企業に買収されてしまった。今後、政府が誘致するTSMCの熊本工場も、北海道に進出するラピダスも、失敗が目に見えていると断言する半導体の専門家もいるのだ。
宇宙開発にいたっては、私は妄想だと考えている。
官僚や政治家にはビジネスセンスがない。センスがないから官僚や政治家になったのだ。国家主導の産業政策の時代は、もう終わったのだ。
所得税・住民税減税を加えた今回の経済対策の規模は17兆円だ。偶然だろうが、その金額は自民党の責任ある積極財政を推進する議員連盟が提唱した「消費税率を5%に引き下げ、食品の消費税はゼロにする」という政策を1年間実施するのに必要な予算と同額だ。
今回の経済対策と消費税引き下げと、どちらが物価高対策に有効か、どちらが景気浮揚の効果を持つのか、答えは明らかだが、岸田総理は、消費税減税をまったく考えていないと断言している。いっそのこと消費税引き下げの是非を総選挙で問うたらどうだろう。












