悲願達成はなるか。大相撲九州場所は11月12日に福岡国際センターで初日を迎える。9月の秋場所は大関貴景勝(27=常盤山)が11勝4敗で4場所ぶり4度目の賜杯を抱いた。今場所はハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば、横綱昇進の可能性もある。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、貴景勝の連覇の行方を占った。
【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者の皆さん、こんにちは! 一年納めの九州場所まで、いよいよ2週間を切りました。今回取り上げるのは、連覇に挑む貴景勝です。秋場所は全休明けの不安を抱えた中で優勝し、大関の責任を果たしました。今年は初場所を含めて優勝2回。本物の実力がないとできません。本人も「今は自分が一番強い」と思っているはずだし、もう一つ上を目指して取り組んでいると思います。
一方で、先場所の優勝を決めた熱海富士との決定戦では相撲内容が議論を呼びましたよね。貴景勝が熱海富士の右差しを封じようとして、左へ変わり気味に動く形になった。あからさまに横に飛ぶような動きとも違うし、相手を研究した上での選択だったと思う。大関は負けてしまえば何も残らない。あの一番に関しては、勝負に徹した姿勢は理解できます。
ただ、横綱に上がるにあたってはマイナス面があったことも否定はできません。この場所では今まで以上に相撲内容が問われることになるでしょう。もともと責任感が強い力士。周りからの厳しい意見もプラスに変えられるはずだし、自分らしい相撲を見つめ直すためのチャンスでもある。今回の経験を生かして、ひと皮むけた姿を見せられれば、上の地位も近づいてくると思います。
連覇を目指す上で、まずポイントになるのが序盤です。これまでの貴景勝は初日や2日目に取りこぼしている印象があるので、特に大事になってくる。あとは、北勝富士や翔猿といった合口が悪い力士に勝ち切れるかどうか。苦手意識がある相手に自分の相撲で勝てば、気持ちの面でも勢いに乗ることができます。序盤を無傷で乗り切れれば、好成績での優勝も見えてくる。
後半は大関同士の対戦がカギになるとみています。夏場所は霧島、名古屋場所は豊昇龍が優勝して大関となり、先場所は貴景勝が優勝するという流れ。九州場所もこの3人による優勝争いになりそうな予感がする。先場所は霧島は9勝、豊昇龍も8勝で悔しい思いをしているし、貴景勝が優勝して気持ちに火がついていることでしょう。
その中で、貴景勝はほかの2人の大関にどれだけ違いを見せることができるか。霧島と豊昇龍は何でも器用にできてしまう半面、相撲が中途半端になってしまっているところがある。その点で、貴景勝には突き押しという明確な形があるのは大きな強みです。大関としてさまざまな経験を積んできたことも、勝負どころで生きてくるはず。最後まで自分の相撲を貫いてほしいですね。
今年の大相撲は新大関の誕生や若手力士の台頭など、新しい風が吹いた一年となりました。九州場所では、最後の締めくくりにふさわしい盛り上がりを期待したいですね。それではまた!












