次に抜け出すのは―ー。大相撲秋場所は9月10日に東京・両国国技館で初日を迎える。過去2場所は霧島(27=陸奥)と豊昇龍(24=立浪)が相次いで大関昇進を果たした。看板力士が続々と誕生する流れは、今後も続くのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、次の大関を狙う3人の力士に焦点を当てた。
【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者の皆さん、こんにちは! 秋場所の新番付が発表されて、いよいよ初日まで10日あまりとなりました。今回は「次の大関候補」に注目してみたいと思います。先場所は豊昇龍が大関に上がる一方で、大栄翔は9勝に終わりチャンスを逃しました。2桁白星は、たまたま調子が良くて2場所続くことはあるけど、3場所連続となると本物の実力がないとできない。
その意味で、大関とりの目安とされている「3場所33勝」は実力を測る上で絶妙な数字だと思います。これまで1、2勝足りなくて涙をのんだ人はたくさんいる。自分も最初の大関挑戦(2011年名古屋場所)がそうでした。横綱の白鵬関に勝って、周りから「大関昇進確実!」と言われて、自分もその気になっていた。結果は1勝足りずに失敗です(苦笑い)。
その時に強く感じたのは、やはり地力をつけなければいけないということ。そうでないと、大関に上がってからが苦労する。安易に勝ちにいって変化などで白星を拾っても、長続きはしません。大栄翔には、自分の相撲をもう一度見つめ直して「ここだけは絶対に負けない」という信念を貫いてほしい。失敗の経験を生かして、ぜひ再挑戦してもらいたいですね。
琴ノ若は先場所、小結で11勝を挙げて大関とりの起点をつくりました。大柄な体格ながら、前さばきがうまくて懐も深い。対戦する側から見れば、かなりやりづらい相手だと思います。これまでは器用さがあるぶん、受け身になって後手に回ることも多かった。今はしっかりと攻めながら、自分の形ができるまで我慢して相撲が取れるようになってきた。成長を感じますね。
大関を目指す上では、気持ちの強さも大事になってくる。琴ノ若は穏やかそうに見えて、根性があって負けん気も強い。本人は大関や横綱というところを目指しているだろうし、霧島や豊昇龍が先に大関に上がったことも大きな刺激になっているはず。近いうちに優勝するチャンスが巡ってくるんじゃないかと思っています。
朝乃山は三役復帰が目前の位置まで番付を上げてきました。先場所は落ち着きすぎて、相撲が小さくまとまっている印象があった。2年ぶりの幕内上位の土俵で、少し慎重になったのかもしれません。それが左腕を痛めてから再出場した後は、むしろ内容が良くなった。これは相撲ではよくあることで、体調が万全だからといって必ず勝てるわけじゃない。
不安を抱えている時のほうが迷いがなくなったり、戦う前のイメージがしっかりできて体が動くことがあるんですね。大関に上がっていく力士に共通するのは「絶対に地位をつかむ」という強い意志があって、良い意味での荒々しさがあるところ。朝乃山も気持ちの面で守りに入らず、再出場後のような吹っ切れた相撲を取れれば、大関に戻れると思います。
豊昇龍、霧島、貴景勝の3大関と、次を目指す力士たちの対戦も楽しみ。意地と意地のぶつかり合いで、きっと場所を大いに盛り上げてくれるはずです。それではまた!












