〝朝青龍級〟のポテンシャルだ。大相撲名古屋場所千秋楽(23日、愛知県体育館)、関脇豊昇龍(23=立浪)が12勝3敗で初優勝し、大関昇進も確実にした。本割で19歳の新入幕伯桜鵬(宮城野)、優勝決定戦では幕内北勝富士(八角)に連勝して〝2冠〟を達成。元横綱朝青龍を叔父に持つサラブレッドの実力は「本物」なのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は、豊昇龍の潜在能力に太鼓判を押した上で「叔父さんと同じ番付(横綱)までいける」と期待した。

 豊昇龍は優勝決定戦で北勝富士を押し出して勝ち名乗りを受けると、こらえきれずに涙を拭った。表彰式の優勝力士インタビューでは「(涙は)出ちゃったですね。すごくうれしくて。我慢してたんですけど、止まらなかった。誰に伝えたい? 一番最初に親方(師匠の立浪親方)に。その後に叔父さん(元朝青龍)に言いたいです」と喜びをかみしめた。

 その豊昇龍は夏場所後に母国モンゴルへ帰郷した際、ある約束を元朝青龍と交わしていた。「叔父さんから『頼むから今場所優勝してくれ!』と言われて『はい、頑張ります』と…。言った通りにできた」と胸を張った。まさに有言実行の活躍には元朝青龍も感激。自身のツイッターに「おめでとう 久々に涙」とメッセージを投稿して祝福した。

 本割では新鋭の伯桜鵬を上手投げで一蹴。12勝目を挙げて大関昇進の目安とされる「3場所33勝」に到達した。この日の結果を受けて、佐渡ヶ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請。26日に開かれる理事会と秋場所の番付編成会議を経て、正式に「新大関豊昇龍」が誕生する。

 今場所は大栄翔(追手風)と若元春(荒汐)の両関脇を含めた〝トリプル大関取り〟が注目を集めた。しかし、終わってみれば、豊昇龍だけが栄冠を独占。秀ノ山親方は「大栄翔も若元春も終盤に星勘定を意識して硬くなっていた。豊昇龍は気持ちの強さで2人を上回っていた。千秋楽で見せた気迫あふれる表情が、すべてを物語っている。闘志で重圧をはねのけた」と分析した。

 かねて秀ノ山親方は、闘争心や身体能力の部分で元朝青龍との共通点を指摘。さらに、豊昇龍は潜在能力の点でも元横綱に近づく要素を秘めているという。「体のバネや、運動神経は叔父さん譲り。まだ若くて相撲の形ができてないことは、逆に魅力でもある。もっともっと伸びしろがあるということだから。技を磨いて相撲の形がつくられていけば、まだまだ強くなる」と太鼓判を押した。

 その上で「大関とは言わず、横綱へ突っ走っていくような勢いを感じる。本人も、そのつもりでいるはず。叔父さんと同じ番付に上がる可能性は十分にあるし、相撲界の新しいスターになれるのでは」と期待を寄せた。

 その豊昇龍は、看板力士として迎える来場所へ向けて「(大関の地位は)夢のところ。しっかり一から稽古して、大勝ちできるように頑張りたい」と意欲十分。今から大関デビューの土俵に注目が集まる。